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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 松田優作さんの遺作になった方ではなく映画の方の『華麗なる追跡』を見ました。

 女ドラゴンで一世を風靡した志穂美悦ちゃんが今度は多羅尾伴内よろしく、数々の変装をして悪党どもに迫り、これを撃滅する痛快アクション映画です。

 一応、おおまかなあらすじを言うと、表向きはカーレーサーとして活躍する矢代忍(悦ちゃん)が父親に無実の罪を着せて投獄した挙句、刑務所内で惨殺(表向きには自殺として処理された)した悪党どもにあの手この手で近づき、追い詰めていく……というものです。なお、この時代の東映の映画なのでおなじみのメンバー(天津敏、石橋雅史、安岡力也など)が敵役です。

 ……かなりハードな映画でした。グロテスクな方向にではなく、お色気方面で。いや、お色気と言うか、その……倒錯性癖というか……どういう映画なんだこれは!?

 ある時はさすらいの女ギャンブラー(ド派手なスパンコールのドレス)、ある時はお茶くみの老婆(かなりモーロク入っている……演技をする)、ある時はダンディーな青年紳士(スーツ上下につけヒゲ)、そしてまたある時はカンボジアの麻薬ブローカー(石橋雅史さんに「本当にこんな奴が金を持ってるのか?」と言われた)……。

 このほかに本職のレーサー姿であったり、シスター姿であったり(教会で麻薬取引がお行われたので)、とにかくクルクルと衣装が変わります。さらに言えば敵役も教会ではみんな聖職者の格好をしているので、ある意味大コスプレ大会のような有様です。コスプレ趣味の人が見たらまた別な楽しみ方があるかもしれません。


 また、本作で際立っているのは敵の大ボスである天津敏のド変t……あ、いや、その……まあ、その特殊な趣味ですね。ある意味、この人が本作をトンデモない大怪作にしてしまったような気がします。

 表向きにはすごく偉い人(国会議員か何かのよう)なのですが、初登場シーンでいきなり熊の着ぐるみ姿でクラシックを聞きながら裸の女性と抱き合っているのだからたまりません。一通り行為を終えた後で頭の部分を取り外し、「ふーっ……」と一息。

 後に悦ちゃんの仲間である女の子を強姦する時も熊の着ぐるみを着ていたので、天津敏はきっとそういう趣味なのでしょう。ちなみにこの時は拘束した兄貴の目の前で強姦しました。そしてBGMはモーツァルトのK.626「レクイエム~怒りの日」でした。

 さらにいえば、一通り味わった後は全裸姿で甲冑の中に閉じ込めていました。わざわざその場所まで食物を運んできていたのを見ると、ずっとそこに閉じ込めておくつもりだったのかもしれません。

 ほかにも悦ちゃんの旧友を麻薬中毒にして「お願いです。クスリを」と言っているのをニヤニヤして眺め、

 「どうだ苦しいか。……お前は奴隷だ。お前は奴隷として一生、ご主人さまにお仕えするんだ」

 と言ったり、捕らえた悦ちゃんを天井から吊り下げて鞭でビシッビシッと叩かれているのを見ながら、

 「悔しいか、忍。そのうち裸にひん剥いて犬にしてやる。鎖を引きずってな。永遠にこの屋敷で家畜となって生きるのだ」

 と言ったり。ただの悪役ではなく、相当マニアックな趣味をお持ちの悪役です。


 そろそろこの映画が一部の特殊な趣味をお持ちの方向けの映画に思われているころだと思うので、ちゃんとアクション映画であることを忘れないために、そういった部分を書き出していきます。

 本作では予告編で『ジャンボな16歳』というコピーがついたマッハ文朱さんが本人役で出ています。

 歌謡ショーとプロレスを同時に見せる謎のバーで活躍しているマッハ。その日の興行が終わり、控え室にいたところ、悪党どもに追われた悦ちゃん(青年紳士フォーム)が飛び込んできて、とりあえず戦うマッハ。飛行機投げでエイヤッと投げ捨てるものの、空中受身でスタッと着地する悦ちゃん。どちらも互角の戦いですが、結局その場では勝負なしのまま終わります。

 再会したのは由利徹さん演じる父親が経営する居酒屋。ここでも悦ちゃんが悪党どもに襲われるのですが、危なく自分の父親の店を時限爆弾で爆破されそうになったうらみもあって悦ちゃんと共闘。予告編でもあったダブルキックで相手をぶっ飛ばします。

 クライマックスでの大立ち回りはいつもの通りなのですが、ここで私が「おおっ!」と思ったのは、石橋雅史さんがちゃんと空手を使って悦ちゃんと戦うところ。今回は悪の株式会社の社長と言うことで終始スーツ姿(教会での取引時は牧師の格好)でしたが、採石場での決闘では空手の構えから鋭い突き蹴りを繰り出し悦ちゃんを苦しめます。

 やっぱり、石橋雅史さんはこうじゃなきゃ、と思うのです。剛柔流空手の達人で大山道場の師範代でもあった石橋雅史さんの空手が見られたのは、本当によかったです。

 ……それなのに、悦ちゃんに飛び蹴りで吹っ飛ばされ、ヨロヨロバタンと倒れた後に大爆発したのは何事なんでしょうか。石橋雅史さんはショッカーの怪人だったのか!?


 なお、この後ロープウェイで逃げようとした天津敏を追いかけ、しがみつく手を踏みつけて落とそうとする天津敏が妙にうれしそうな表情をしていたこと、一瞬の隙を突かれて大逆転、自分が奈落の底に落ちていったことを最後に付け加えておきます。


 と、まあ、想像の5倍ほどエキサイティングな映画でした、『華麗なる追跡』。アクションの激しさよりも見た目の華やかさ重視なのかな。実際、あの手この手で悪の組織の内部調査に乗り込むシーンは「バレないかな、大丈夫かな」つって、結構ドキドキしました。そしてタメにタメて「しかしてその実体は!」と言って正体を明かし、大暴れするクライマックス。完全に多羅尾伴内のテンプレートなんですが、なかなか楽しかったです。

 あとは一部の特殊な趣味をお持ちの人も、きっと喜ぶでしょう。まあ見目麗しいアニメチックなモエモエ美少女に対してそういったことをするのが好きな人には、天津敏の怪演は少々ハードすぎるかもしれませんが。

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 ある時はさすらいの女ギャンブラー(ド派手なスパンコールのドレス)、ある時はお茶くみの老婆(かなりモーロク入っている……演技をする)、ある時はダンディーな青年紳士(スーツ上下につけヒゲ)、そしてまたある時はカンボジアの麻薬ブローカー(石橋雅史さんに「本当にこんな奴が金を持ってるのか?」と言われた)……。

 このほかに本職のレーサー姿であったり、シスター姿であったり(教会で麻薬取引がお行われたので)、とにかくクルクルと衣装が変わります。さらに言えば敵役も教会ではみんな聖職者の格好をしているので、ある意味大コスプレ大会のような有様です。コスプレ趣味の人が見たらまた別な楽しみ方があるかもしれません。


 また、本作で際立っているのは敵の大ボスである天津敏のド変t……あ、いや、その……まあ、その特殊な趣味ですね。ある意味、この人が本作をトンデモない大怪作にしてしまったような気がします。

 表向きにはすごく偉い人(国会議員か何かのよう)なのですが、初登場シーンでいきなり熊の着ぐるみ姿でクラシックを聞きながら裸の女性と抱き合っているのだからたまりません。一通り行為を終えた後で頭の部分を取り外し、「ふーっ……」と一息。

 後に悦ちゃんの仲間である女の子を強姦する時も熊の着ぐるみを着ていたので、天津敏はきっとそういう趣味なのでしょう。ちなみにこの時は拘束した兄貴の目の前で強姦しました。そしてBGMはモーツァルトのK.626「レクイエム~怒りの日」でした。

 さらにいえば、一通り味わった後は全裸姿で甲冑の中に閉じ込めていました。わざわざその場所まで食物を運んできていたのを見ると、ずっとそこに閉じ込めておくつもりだったのかもしれません。

 ほかにも悦ちゃんの旧友を麻薬中毒にして「お願いです。クスリを」と言っているのをニヤニヤして眺め、

 「どうだ苦しいか。……お前は奴隷だ。お前は奴隷として一生、ご主人さまにお仕えするんだ」

 と言ったり、捕らえた悦ちゃんを天井から吊り下げて鞭でビシッビシッと叩かれているのを見ながら、

 「悔しいか、忍。そのうち裸にひん剥いて犬にしてやる。鎖を引きずってな。永遠にこの屋敷で家畜となって生きるのだ」

 と言ったり。ただの悪役ではなく、相当マニアックな趣味をお持ちの悪役です。


 そろそろこの映画が一部の特殊な趣味をお持ちの方向けの映画に思われているころだと思うので、ちゃんとアクション映画であることを忘れないために、そういった部分を書き出していきます。

 本作では予告編で『ジャンボな16歳』というコピーがついたマッハ文朱さんが本人役で出ています。

 歌謡ショーとプロレスを同時に見せる謎のバーで活躍しているマッハ。その日の興行が終わり、控え室にいたところ、悪党どもに追われた悦ちゃん(青年紳士フォーム)が飛び込んできて、とりあえず戦うマッハ。飛行機投げでエイヤッと投げ捨てるものの、空中受身でスタッと着地する悦ちゃん。どちらも互角の戦いですが、結局その場では勝負なしのまま終わります。

 再会したのは由利徹さん演じる父親が経営する居酒屋。ここでも悦ちゃんが悪党どもに襲われるのですが、危なく自分の父親の店を時限爆弾で爆破されそうになったうらみもあって悦ちゃんと共闘。予告編でもあったダブルキックで相手をぶっ飛ばします。

 クライマックスでの大立ち回りはいつもの通りなのですが、ここで私が「おおっ!」と思ったのは、石橋雅史さんがちゃんと空手を使って悦ちゃんと戦うところ。今回は悪の株式会社の社長と言うことで終始スーツ姿(教会での取引時は牧師の格好)でしたが、採石場での決闘では空手の構えから鋭い突き蹴りを繰り出し悦ちゃんを苦しめます。

 やっぱり、石橋雅史さんはこうじゃなきゃ、と思うのです。剛柔流空手の達人で大山道場の師範代でもあった石橋雅史さんの空手が見られたのは、本当によかったです。

 ……それなのに、悦ちゃんに飛び蹴りで吹っ飛ばされ、ヨロヨロバタンと倒れた後に大爆発したのは何事なんでしょうか。石橋雅史さんはショッカーの怪人だったのか!?


 なお、この後ロープウェイで逃げようとした天津敏を追いかけ、しがみつく手を踏みつけて落とそうとする天津敏が妙にうれしそうな表情をしていたこと、一瞬の隙を突かれて大逆転、自分が奈落の底に落ちていったことを最後に付け加えておきます。


 と、まあ、想像の5倍ほどエキサイティングな映画でした、『華麗なる追跡』。アクションの激しさよりも見た目の華やかさ重視なのかな。実際、あの手この手で悪の組織の内部調査に乗り込むシーンは「バレないかな、大丈夫かな」つって、結構ドキドキしました。そしてタメにタメて「しかしてその実体は!」と言って正体を明かし、大暴れするクライマックス。完全に多羅尾伴内のテンプレートなんですが、なかなか楽しかったです。

 あとは一部の特殊な趣味をお持ちの人も、きっと喜ぶでしょう。まあ見目麗しいアニメチックなモエモエ美少女に対してそういったことをするのが好きな人には、天津敏の怪演は少々ハードすぎるかもしれませんが。

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