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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。


 これは先日ゲオで『けいおん!』を借りた時に、一緒に借りてきたソフトです(ちなみにもう一本は『ドラえもん』)。

 『けいおん!』だけでは、いかにもアニメ好きのナヨナヨ男子のようなので(超偏見)バランスをとる意味で、何か激しい闘争心を掻き立ててくれるものを! と思い、21世紀女子高生のスロー部活ライフなアニメとは正反対の、60-70年代ボクサーの血と汗にまみれた激闘の記録映画を借りてきたのでした。

 で、ただいま申し上げたように、これは『ドキュメント映画』です。実在の人物の、実際の活動を記録した映画です。

 そしてこの映画が製作されたのは1970年。……一度目のチャンピオンになって、栄光街道をばく進している最中、徴兵拒否でその権利を剥奪された頃のものです。司会進行役の人が言っているように、このあとどうするのか誰もわからなかった時代に作られた映画なのです。

 大まかな流れとしては、まあ生い立ちからボクシングを始めるきっかけ、そしてその後のスター街道とブラック・ムスリム入信による転落、さらに徴兵拒否による急降下と現在(1970年)を78分のフイルムに収めた……というもの。

 この時、自分自身の試合のフイルムを見ながら、それにアリが色々なコメントを付け加えているのですが、その時に隣にいるのがカス・ダマト。私は名前だけしか知りませんでしたが、いわゆるアメリカの丹下段平ですね(違う)。かのマイク・タイソンも彼によって育て上げられ、ボクシング・マシーンのごとき強さをほこりました。

 ただ、演出なのか本気なのかわかりませんが……このじいさんの言う言葉がいちいち辛らつなんですよね。まあ、ものすごくザックリ言えば、「昔のチャンピオンとオマエが戦ったら、まず勝てなかっただろうよ」てなことを、アリ本人に向かって言ってるんですよね。

 で、チャンピオンベルトもライセンスも剥奪されて、「元プロボクサー」という立場になっていたとはいえ、アリはアリですから、「あんな野郎におれが負けるだって? バカ言ってんじゃねえよ。おれのスピードであんなウスノロ野郎あっという間にKOするに決まってんだろ」といったことを早口・大声でまくし立てます。

 何もない部屋でふたりの男が激しく言い合って、このまま殴り合いに発展するんじゃないかって、ハラハラしながらその光景を見ていました。


 まあ、この映画じゃなくても、当時のアリの喋りがすさまじかったのは、皆さんもよくご存知のこととは思いますが、この映画でもそれらがバッチリ収録されています。

 いわゆるKO予告もそうですし、調印式でも止まらない、止まらない。

 これに比べたら亀田三兄弟のビッグマウスなんて、随分おとなしいものです。

 まあ、これで負けてるようならただの大ボラ吹き・スカポンタンもいいところなのですが、実際にこれで勝ちまくってるんだから仕方がない。エンターテイナーとしては試合前/試合中/試合後すべてにおいて最高の存在でしょう。まさにHe is GREATEST なのです。


 で、この映画でクローズアップされていたのは、ボクサーとしてというより、むしろ思想家? としての彼の活動。かのマルコムXもいたブラック・ムスリムに入信しモハメド・アリと改名。黒人差別撤廃を各地の講演で繰り返したんですね。

 犬神は100%ボクシングの映画だと思っていたので、このあたりはちょっとだけ退屈してしまいました。でも、こういった活動を経て徴兵拒否、そしてライセンスとチャンピオンベルトの剥奪……といった話は、アリにとっては人生をねじ曲げられた重要なところですしね。私もそのことを知らないと、アリと言う人間の偉大さを知ることが出来ないでしょう。

 (アメリカ人としての)富も名誉もなくす覚悟で国家にケンカを売り、最後まで戦い抜くということ。映画ではもちろん語られていませんでしたが、このあとチャンピオンに返り咲いたこと。ついでに言えばアントニオ猪木のケンカもちゃんと買って戦ったということ(それがアングルだとかシュートだとか、そういった理屈はさておいてね)。

 生き方すべてにおいて自分らしさを貫き通したその精神力は、本当に本当にスゴイと思いました。もう一本くらい、今度はもっと新しい時代のことも入ってるドキュメントが見てみたいなあ。


  *


 先ほど、カス・ダマトと殴り合い寸前の言い争いをしていた、とは言いましたが、無論カスはアリの強さを認めています。そしてその強さ、ひいてはボクサーの強さとは「精神力」である! としきりに言っていて、それを聞いた瞬間、プロレス頭の犬神は鬼軍曹こと山本小鉄さんを思い出してしまったのでした。

 同じくコーチ役で、同じくすばらしい選手をたくさん輩出し、同じく根性論で(笑)。カスが竹刀を振り回してマイク・タイソンを鍛え上げたという話はもちろん聞いたことがありませんが、やはり勝負を最後に分けるのは精神力である、というのは洋の東西を問わず、共通することである……のかな? と思いました。

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 大まかな流れとしては、まあ生い立ちからボクシングを始めるきっかけ、そしてその後のスター街道とブラック・ムスリム入信による転落、さらに徴兵拒否による急降下と現在(1970年)を78分のフイルムに収めた……というもの。

 この時、自分自身の試合のフイルムを見ながら、それにアリが色々なコメントを付け加えているのですが、その時に隣にいるのがカス・ダマト。私は名前だけしか知りませんでしたが、いわゆるアメリカの丹下段平ですね(違う)。かのマイク・タイソンも彼によって育て上げられ、ボクシング・マシーンのごとき強さをほこりました。

 ただ、演出なのか本気なのかわかりませんが……このじいさんの言う言葉がいちいち辛らつなんですよね。まあ、ものすごくザックリ言えば、「昔のチャンピオンとオマエが戦ったら、まず勝てなかっただろうよ」てなことを、アリ本人に向かって言ってるんですよね。

 で、チャンピオンベルトもライセンスも剥奪されて、「元プロボクサー」という立場になっていたとはいえ、アリはアリですから、「あんな野郎におれが負けるだって? バカ言ってんじゃねえよ。おれのスピードであんなウスノロ野郎あっという間にKOするに決まってんだろ」といったことを早口・大声でまくし立てます。

 何もない部屋でふたりの男が激しく言い合って、このまま殴り合いに発展するんじゃないかって、ハラハラしながらその光景を見ていました。


 まあ、この映画じゃなくても、当時のアリの喋りがすさまじかったのは、皆さんもよくご存知のこととは思いますが、この映画でもそれらがバッチリ収録されています。

 いわゆるKO予告もそうですし、調印式でも止まらない、止まらない。

 これに比べたら亀田三兄弟のビッグマウスなんて、随分おとなしいものです。

 まあ、これで負けてるようならただの大ボラ吹き・スカポンタンもいいところなのですが、実際にこれで勝ちまくってるんだから仕方がない。エンターテイナーとしては試合前/試合中/試合後すべてにおいて最高の存在でしょう。まさにHe is GREATEST なのです。


 で、この映画でクローズアップされていたのは、ボクサーとしてというより、むしろ思想家? としての彼の活動。かのマルコムXもいたブラック・ムスリムに入信しモハメド・アリと改名。黒人差別撤廃を各地の講演で繰り返したんですね。

 犬神は100%ボクシングの映画だと思っていたので、このあたりはちょっとだけ退屈してしまいました。でも、こういった活動を経て徴兵拒否、そしてライセンスとチャンピオンベルトの剥奪……といった話は、アリにとっては人生をねじ曲げられた重要なところですしね。私もそのことを知らないと、アリと言う人間の偉大さを知ることが出来ないでしょう。

 (アメリカ人としての)富も名誉もなくす覚悟で国家にケンカを売り、最後まで戦い抜くということ。映画ではもちろん語られていませんでしたが、このあとチャンピオンに返り咲いたこと。ついでに言えばアントニオ猪木のケンカもちゃんと買って戦ったということ(それがアングルだとかシュートだとか、そういった理屈はさておいてね)。

 生き方すべてにおいて自分らしさを貫き通したその精神力は、本当に本当にスゴイと思いました。もう一本くらい、今度はもっと新しい時代のことも入ってるドキュメントが見てみたいなあ。


  *


 先ほど、カス・ダマトと殴り合い寸前の言い争いをしていた、とは言いましたが、無論カスはアリの強さを認めています。そしてその強さ、ひいてはボクサーの強さとは「精神力」である! としきりに言っていて、それを聞いた瞬間、プロレス頭の犬神は鬼軍曹こと山本小鉄さんを思い出してしまったのでした。

 同じくコーチ役で、同じくすばらしい選手をたくさん輩出し、同じく根性論で(笑)。カスが竹刀を振り回してマイク・タイソンを鍛え上げたという話はもちろん聞いたことがありませんが、やはり勝負を最後に分けるのは精神力である、というのは洋の東西を問わず、共通することである……のかな? と思いました。

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