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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
前々回の記事で「早川茉莉さんの『森茉莉かぶれ』を借りてきた」「それを『帝都物語』と並行して読みます」と言う話をしたところですが、休日を利用していっぺんに読了してしまいました。



 なんだってそんなに読み急ぐの? と言われるかもしれませんが、決してそうではありません。今日は良い天気だし、借りてきた『帝都物語』第参番と第四番を返し手続きを借りて来なければいけないので、ちょっと雰囲気のいいところで読んでみようかと思って行ったのです。……確かに、ここで読み終えてしまえば返却の手間が省けるなと言う思いはありましたが……。

 

 今回はこちら。定禅寺通りにある「甘座洋菓子店」……の前にあるフリースペース(LIVING STREET PROJECT―西側の歩道を楽しむプロジェクト―によるもの)で読みました。なおこちらのお店は1968年創業で、路上駐車してお菓子を買いに来る人たちがたくさんいました。そんな雰囲気の場所であれば、なおさら本の愉しみも増すというものです。

 大体にして森茉莉さんも著者の早川茉莉さんも無類のカフェ好き(カフェなしでは1日もいられないとか、そういうレベル)ですからね。そんなお二方の世界に入り込むためには、これほどうってつけの場所もないわけですよ。風月堂か邪宗門か。いやいやここは仙台だ。森茉莉さんは仙台について「三越もないし何もないし」と、あまりお気に召さなかったらしいですが、私は仙台が好きなんです。
東京じゃなくていい。東京みたいにならなくていい。私はそんな仙台のストリートでふたりの茉莉さんの世界にしばし浸りました。

 

 こうしてきちんと、早川茉莉さんの文章を読むのは初めてですが(こないだのムック本でおすすめリストを少々読んだことはある)、すごくしっかりしていて良いですね。ご自身では「ふん、キザですね」と謙遜しておられますが、いえいえそんなことはありません。私も最近『私の美の世界』『贅沢貧乏』それにいくつかの短編とエッセーを読み、『森茉莉好き』のサロンの端っこでおずおずとしている身ですから、先輩のお話をたくさん読めて、すごく楽しかったです。

 何よりも、大好きを伝える方法として手紙ほど便利なものはない、と思いました。便利というか適切と言うか……気持ちがストレートに伝わるな、と。もっと言えば、手紙そのものの効用について、改めて気づかされたというか。「これはいいなあ!」と。ええ、本当に本当に、この本そのものが気に入ってしまったのです。

 でも、繰り返しますが急いで読んだわけではありません。早川茉莉さんの文章はとても素敵で、森茉莉さんへの愛情がたっぷり伝わりました。そして、私もまた森茉莉好きの端くれとして、そのあたりの感情を共感できて良かったです。比べるべきではないかもしれませんが、こないだの群ようこさんの本よりもずっと共感できました。群さんの方は「まあ、確かにそうかもしれないけど……」と若干距離を置いて冷静な振りをし、なおかつ少し我慢しつつ読了しましたが、これは本当に最初から最後まで「そうだ!」「そうかな!」と共感しながら読めました。

 ちなみに早川茉莉さんは、「ベストセラー本であっても、筆力のないエッセイや小説が好きではありません」とのこと。いや、まあ私はただの一般人だから、どれほどめちゃめちゃな文章でもいいとは思うのですが、やっぱり一定のカリテに達していないといけないとは思うんですよね。せめて、書けなくてもいいから良い本をたくさん読みたいです。そしてそれを真似してみたいです。



 仙台も、もう秋の雰囲気が本格化しています。明日の最高気温は16度とか。今夜も温かくして眠ることにします。……眠れればいいなあ。

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