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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 とあるスーパーで、千円札を小銭にするために買ったDVD『ブルース・リー物語』を見ました。この理由もすごいですよね。

 出演は「ブルース・リィ」という俳優で、パッケージの裏を見ると、ブルース・リーのそっくりさん業界ではNo.1の人気と実力を誇るそうです。確かにそういう業界、そういうブームが70年代にはあったようですが、No.1そっくりさんといえば私の中ではタン・ロン(『死亡遊戯』など)でしたからね。「まあ、そこまで言うなら……」という気持ちで再生ボタンを押しました。

 結果的には、なかなか面白かったです。単純にカンフー映画としてもそうですし、ブルース・リー幻想を膨らませることも出来ましたし、結構満足です。


 女優ベティ・ティンペイの家でいきなり意識不明状態になっているブルース・リー。すぐに駆けつけた救急車によって病院に運ばれますが、そのままお墓の映像になってしまいます。そして、これはブルース・リーとその志を継ぐものに捧げる映画である、というナレーションのあと、物語が始まります。

 渡米前に行ったイップ・マン師匠との組み手の後は……「街でザコをやっつける」→「そのザコがボスに告げ口」→「怒ったボスが弟子を引き連れて再戦」→「複数人で襲ってくるものの、全員撃退」というパターンが、時代と場面を変えて繰り返されます。

 その合間に俳優ブルース・リーとしての苦難が描かれるという感じです。アメリカで『グリーン・ホーネット』の役をもらい、それなりに活躍するものの、無名の東洋人俳優では映画デビューできないといわれ、香港に戻って自分の主演映画を作り……という流れです。

 このあたり、予備知識がないと、ちょっと難しいかもしれませんが、とりあえず私は楽しめました。


 この映画の特徴的なシーンといえば、科学的? トレーニング。日本の特撮映画みたいなヘンテコな機械を利用して、身体に電気を流したり、穴にパンチを打ち込んだりと、具体的にどういった効果があるのかよくわからないトレーニングをするシーンがありました。

 前者はアイソメトリックの一種のようですが……こういうのは、やってなかったんじゃないのかなあ、と思うのです。

 まあ、そんな疑問を抱きつつも、物語は終盤――すなわちベティ・ティンペイ宅に戻ります。頭が痛いと訴えて、薬をもらって服用、そのままベッドに横たわり……冒頭のシーンに戻る、というわけです。

 当時は死因について色々な噂が流れていたようですが、この映画のすごいところはそれをわざわざ再現しているということ。すなわち『暴漢に襲われた説』『ベティ・ティンペイとイイコトをしている時に死亡説』……そして『10年後に復活する説』。

 最後の生存説は、当時東南アジアで流れていた話だそうです。このままじゃ早死にするといわれたブルース・リーが生き延びるために、10年間、家族も財産も捨てて他人として生きることを決意したという話です。そして10年後の1983年に再び帰ってくる、という、10年どころか40年近く経ってしまった現在では、なんともいえない感慨に浸ってしまう伝説です。

 でも、ひとりジャングルの中に消えていくブルース・リーを見送るエンドは、先ほども申し上げたように『ブルース・リー幻想』を膨らませる最高の演出でした。もし生きていたら……なんてね。まあ義経ジンギスカン伝説みたいなもんですけどね。


 そういうわけで、なかなか面白い映画でした。

 ただ、翻訳の字幕がおかしいんですよね。

 『グリーン・ホーネット』が『グリーン・オーネスト』になっているのは、まだいいです(商品としては明らかに間違いだと思いますが)。映画の中で何度か口にする『ジェット・クーン』って! 他の人のサイトで『ジークンドー』のことだって言われなきゃ、私ずっと勘違いしたままでしたよ! 「ジェット・リーみたいなもんか」「なるほど、リーは自分のカンフーのことを、ジェット・クーンと呼んで広めようとしていたんだな」とかって!

 ……でも、この言葉はこの言葉でなんかかっこいいから、ここから色々と幻想を膨らませるのも、面白いかも?

 「おれのジェット・クーンを見せてやる!」

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