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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
これだけ長い年月ブログをやっていればさすがに何度か名前が出てきていますが『ルイス・キャロル詩集』を読み直しました。前回ちゃんと取り組んだのは28歳の頃ですが、こないだ実家から持ってきて今は手元にあります。全く個人的な話ではありますが、この機会に思い出を定着させたいので、少し詳しく書きます。でも今日は思い出をつらつらと書き連ねるだけにします。
 
 この本を買ったのは1998年8月のことです。当時、高校総合文化祭の全国大会に参加するため鳥取県米子市にいた私。一通りの用事が済み、わずかな自由時間に米子市内のアーケード街を歩いていて見つけた古本屋さんの、本棚の一番上にあったのを背伸びして買いました。ちなみに同時に買ったのは「ときめきメモリアル」のプライズでした。私は美樹原さんが大好きです。

 背伸びっていうのはここで二重の意味があります。この当時は『不思議の国』も『鏡の国』も読んだことがなく、ただルイス・キャロルという人が書いた本だと言うことはを知っているけど……と、そんな程度の17歳がいきなり詩集を手にする。装丁も豪華だし、ラノベとかじゃなくてこういう本を読んでいる自分って格好いいよね。なんてファッション的な気持ちもありました。結構な背伸びでした。

 正直に言って、最初は「夢中になって読んだ」とか、そういうレベルではありませんでした。あまり消化が良くないものを食べた感じがします。とにかく食べ切ったけれど、おなかの中がゴロゴロするような感じ。……もっとも私なりに良さを感じ取り、何よりも「もっと本気で取り組んでみたい!」と英文科への進学を決意する――そして25年経ったいま読み直して、ようやくキャロルそして訳者の高橋康也さんの技巧と玩味に気づいたのですからね。本当に消化に時間がかかったのでしょうね。だから私にとっては大切な本です。

  *

 今回読み直してようやく気が付いた「技巧と玩味」とは、アクロスティックについてです。

 アクロスティックと言うのは、最近の卑俗な言葉で言うと「縦読み」というやつですね。英語の国の詩は横書きですが、その1文字目を拾っていくと別な意味合いが浮かび上がってくるという言葉遊びです。キャロルがそれぞれ愛すべき少女たちに送った詩には、ALICEだったりISAだったり……その相手の名前が隠されていたんですね。

 そして、その英語詩を日本語に翻訳した高橋康也さんの詩も、「あ」「り」「す」とアクロスティックになっていたことに、25年経ってようやく気づいたのです! 「今頃気がついたのか!」と高橋康也さんも泉下で苦笑しておられると思いますが、ええ、そうなんです。当時はとにかく文字を追いかけて、ちょっぴりだけ雰囲気を味わうのが精一杯で、およそ文学的なアレコレまで気が回らなかったのです。

 キャロルを勉強したくて英文科に入って、卒論も「アリス」で書きましたが、正直なところ当時の私は力不足で、なんともひどい文章を書いてしまったと思います。その時のことを思い出したくなくて、遠ざけていた部分もあるのですが……うん、いずれ自分のためにも、今の私が読んで感じた「アリス」論を書きたいと思います。矢川澄子さんが翻訳した版を読んだうえで、その点については改めて書きたいと思います。今日はこのへんで。

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