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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
仙台市青葉区は双葉ケ丘というところにある「ギャラリー越後」にて、仙台市の美術作家Rimoさんの個展『再び生きる』を見てきました。

 先日仙台市内の数か所のギャラリーで開催された無審査の芸術展『アンデパンダン展』の時にこちらのギャラリーの存在を知ったのですが、ここはアパルトマンの一室を使ったアトリエ兼ギャラリーで、私のアパルトマンから乗り物で10分、歩いても30分程度で着いてしまうという、割合近くの場所なのです。

 ただしいつもオープンしているわけではなく、このように時々個展などを開催する時だけ開けるのだそうです。実際入り口は(扉の横に「いらっしゃいませどうぞ」という札が張り付いている以外は)アパルトマンのそれなので、なかなか入りづらいものがありますが、そ~っと開けるとオーナーの越後しのさんがご挨拶をして下さるので、私も気安く入れます。今回は二回目の来訪でした。

 私が行ったのは10月22日の午前中だったのですが、ちょうどその時、作者のRimoさんがいらっしゃいました。新しい作品ができたのでそれを追加しに来たのだそうです。

 作品は2点あります。まず1点は油絵。せーの、ドン!

 

 Rimoさんいわく、「初めて、自分でも好きだと思えるような絵が描けた」とのことですから、会心の出来と言ったところでしょうか。30号のキャンバスに大きく鳥が描かれておりますが、それでも足りず、周りを覆うようにキャンバスを追加して雲の模様を付け加えた大作です。この機会とばかりにお話を伺いながら見ることができたのですが、よく見るとキャンバスごとに一つ一つ独立した、違った雲の絵が描かれているのですね。これはそれぞれ別な日の雲の様子を描いたそうで……。

 そして感情家の私はどう思ったのか。じっと見ていると、特に真ん中の鳥ですね。これが、もう……キャンバスから浮き出して見えたんです。そのくらい印象が強くて。いや本当にステレオグラムとか、ああいう仕掛け絵を見た時のように、この鳥が飛び出してきたような錯覚をしました。隣の部屋でインスタレーション作品の準備をしているから、というのもあったのですが、いつまでも見飽きない、素敵な絵でした。いぎなり良いと思います!

 そしてもう一点が、隣の部屋全体を使って表現されたインスタレーション作品です。なお私は今回この記事を書くにあたり、初めてこういう作品のことをインスタレーションというのだと知りました。続いての作品です。はい、ドン!



 まったく全体像が伝わらない写真ばかりで申し訳ないのですが、本当に私自身、どう写真を撮ればいいのか、正直わからなかったのです。とりあえず印象的な部分を切り取っては見たものの、これは完全に力不足です。トホホ……。

 仕方がないのでこれまたRimoさんのお話で補完します。それだってメモを取りながら聞いたわけじゃないので、結構抜け落ちている部分もあるのですが。

 まずこのドレスですね。これは30年ほど前にRimoさんのお嬢様のために縫ったものだそうです(それをお召しになったお嬢様の当時の写真も飾られておりました)。それをベースに、リハビリのために歩いていた『万葉の森』(黒川郡大衡村)と、そこに住まうたくさんの蝶をちりばめた……今日いらっしゃったのは、その蝶の新しいものが出来上がったので、追加するためにやってきた……とのことです。何せひとつひとつ色付けをしているもので、大変な時間がかかっているそうです(1頭に3日かかったとか)。またドレスの足元に広がる長い裾は、万葉の森の水の流れを表しているとのことで、これは密かに「そうか!」と声を上げました。そうすると、部屋中に広がる木の枝のイメージともリンクしてきます。

 そして感情家の私のダイナモが激しく回転し始め、ムクムクとイメージが広がりました。

 30年前に少女を飾ったドレスは役目を終え、少しずつ朽ち始めていた。しかし、Rimoさんの手によって新たな生命を吹き込まれたドレスからは清らかな水が流れ出し、それを含んだ木々が成長して部屋いっぱいに広がっている。やがて無数の蝶が宿り、ここは思い出と希望をたたえた『万葉の森』となったのだった……。

 なんかヤプーズの『森に棲む』みたいな話ですが(私はヤプーズが大好きです)、パッと見て、お話しを聞いて私の無意識からわき出したイメージはそんな感じです。これはむしろ、帰ってきて数時間経って思い返すほどに気持ちが湧き上がってきますね。ああ、これは良かったなあ、って。

 *

 帰り際、もう一度Rimoさんとお話しする機会があったので、アンデパンダン展で見た作品の感想も伝えさせていただきました。

 

 これは教科書で読んで「初めて泣いた」宮沢賢治の『よだかの星』をイメージして制作した作品だった、とのことです。たまたまというか……いや、アンデパンダン展は仙台市内の数か所のギャラリーで同時多発的に開催されていて、それを頑張って全部回った私ですから、出合うべくして出合ったというべきでしょうね。そして、個展が開催されることも、このアンデパンダン展で初めて行ったギャラリー越後さんで開催されることも何かの縁だ、って言って訪れた。そうしたところ、ちょうどRimoさんご本人とお会いすることができた。すべてにおいて縁でしょう。やはり、積極的に行動すれば、おのずと縁が強まるのです。

 そんな感じで一生懸命に気持ちを伝え、会場を後にしました。来年もまた個展を開催されるとのことなので、その時のために、今日はこの記事を書きました。色んなものを見て想像力を働かせ、感情のままに自分だけの空想世界を広げてそれを書きつける。それが感情家たる私の自己空想表現です。

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