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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。

 別に「今年は100冊、本を読むぞ!」と決めてかかったわけではなく、読んだ本の記録をつけていたら結果的に100冊目に到達した……という話なんですが、ともかく100冊は100冊です。正確に言えば今日時点で108冊くらい読んでいますが、「100冊ちょっと」というあいまいな言い方が気に入ったのでそういうことにします。
 そこで、今年読んだ本について軽く振り返ってみたいと思います。今日は本当にお手軽というか、ドラマの総集編みたいな内容なので、読む方もご自身の今年のことを振り返りながら読んでいただければと思います。

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 今年読んだ本のリストを見返して、10冊セレクトするとしたら、こんな感じです。

1.ウォルポール 『オトラントの城』
2.三島由紀夫 『豊饒の海』
3.稲垣足穂 『一千一秒物語』
4.矢川澄子 『兎とよばれた女』
5.来栖千依 『帝都はいから婚物語』
6.安澄加奈 『水沢文具店』
7.夢野久作 『ドグラ・マグラ』
8.森茉莉  『贅沢貧乏』
9.荒俣宏  『帝都物語』
10.ユイスマンス 『さかしま』
 
 主に図書館で借りて読むことが多かったのですが、『帝都はいから婚物語』は刊行直後に新刊で買いました。帝都物語が大好きで今年10年ぶりに再読したんですが(その時の感想はこちら)これをしっかり自分のなかに落とし込んだうえで、あえて言います。これは良い作品でした!

 帝都はいから婚物語 - ポプラ社

 当時の読後感メモによると「これほど可愛い女の子はなかなかいない。そんな女の子が偏見だらけの世の中に飛び込み、呑み込まれるどころか自分で渦を起こしてどんどん周りを巻き込み変えていく展開は読んでいて気持ちよかった。」とのこと。ラノベっぽいタイトルですけど文章も落ち着いてシッカリしているので、最後まで興ざめすることなく読めました。作者の来栖千依さんは、本作でポプラ社小説新人賞ピュアフル部門賞を受賞されたとのことで……私はただの文芸オタクにすぎませんが、とても好きなので書かせて頂きます。応援してます!

   *

 その後、11月に入り、ユイスマンスの『さかしま―美と頽廃の人工楽園―』を読了。その数日後に叔母が帰天し、Xも休止。どんどん内向きの世界に入り込み、一冊ごとに書きつける文章も激増。私のきわめて偏執狂的な、地上十階地下十階の精神的な人工楽園のなかで物語を読みふけり、兎年の100冊目に矢川澄子『兎とよばれた女』を読了した次第です。

 今の私は堂々と『文芸オタク』を宣言してもいいと思うのです。これまで「ちょっと難しそうだから」と敬遠していた『豊饒の海』『ドグラ・マグラ』も次々読了。「旧字旧仮名遣いじゃ読めないよ」とあきらめていた森茉莉も読了。物語の波長が合えば100年前の作品だろうと何だろうとどんどん読んじゃうだけの力を手に入れたんです。精神の危機に瀕していた私を救ってくれたのも文学なら、そこから這い上がって生きていく力を与えてくれたのも文学ですから。これら100冊ちょっとの本に感謝の気持ちを込めて、これからもアナログハートを守りつつアート&ブンゲイで生きていきたいと思います。

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