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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
こんばんは
 
 自律神経がメチャメチャです
 
 高杉です(体調不良中)。
 
 
 元気を出そうにも体がついてこず、非常につらい今日この頃ですが、せめて心を整えようと思い図書館で借りてきた山岡荘八先生の『伊達政宗』を読んでいます。
 
 一冊あたり300ページ少々の単行本が全部で6冊あり、第一巻は読み終えたのですが、第二巻は昨日の休みを使っていっぺんに読み通してしまいました。現在は第三巻のおよそ三分の一、大体100ページくらい読んだところです。
 
 物語的には、ちょうど関ヶ原の戦いが終わって、『徳川家康』でも小利口っぷりをいかんなく発揮してついに滅びてしまった石田治部の処断が終わり、これから豊家をどうしようか、ってところです。秀吉とパフォーマンス勝負をしていたころは野望に燃えてギラギラしていた政宗公も、どっしりと構えているようで時々妙に人間臭く「どうしたものかのう」と首をかしげる大人物・徳川内府殿や柳生宗矩さんと出会い、少しずつ変わり始めたところです。
 
 ただし、今日書くのは第二巻あたりの話です。
 
 なお、前もって申し上げますが、今と昔では世の中の仕組みも違うし「風習」も異なります。私もそのあたりのことを十分に承知したうえで書きます。
 
 
 第二巻は秀吉との知恵比べというか、さっきも言ったようにパフォーマンス勝負が前半の主な展開となります。すなわち小田原参陣に遅参した政宗のガキをどうしてくれようか! とカンカンに怒る秀吉さん、両陣営の家臣たちはアワアワオロオロ……そんな中で一人、不敵に笑いながら度肝を抜くプランを練る我らが独眼竜……そんな感じの時代です。もとより両者ともに派手好きで、どちらも「自分が一番のパフォーマーじゃなくちゃ気が済まない」気質の持ち主ですから、完全な第三者たる私たち読者にとっては非常に楽しい物語です。
 
 といって、どんなパフォーマンスをしたかというのは、「花の慶次」でもなんでも参照いただければよろしい。今日書きたいのは政宗公の愛すべき正室、その名も『愛姫』についてです。
 
 
 東北の戦国武将・田村清顕の「一人娘」として生まれた愛姫は、とにかく可愛くて可愛くて仕方がないという意味の『めご姫』と呼ばれて大切に育てられました。しかしながら田村氏にはほかに子がなく、家名存続のために数え年12歳で政宗公のもとに嫁ぎます。Wikipediaには、一時夫婦仲が悪くなったということが書かれていますが、小説には書かれていなかったので知らんぷりをします。あくまで山岡荘八先生の『伊達政宗』に出てくるめご姫の話とご承知おきください。
 
 小説におけるめご姫は、とにかく気丈で健気で素敵な女性です。秀吉のパフォーマンスに巻き込まれて? 京へ人質に出されるときは、
 
 「もしも辱めを受けるようなことがあれば、いつでもこの短刀で自害いたします」
 
 と政宗公に言ってのけるあたり、いかにも大名の娘らしいプライドがあります。
 
 そして、プライドだけでなく亭主・政宗公への愛情も深く、
 
 「わらわを人質に京へ連れ去る。(中略)わらわは、殿のおそばを離れとうはござりませぬ」
 
 なんて言っちゃうんですよね。
 
 そして、私が特に感動したのが、次のくだりです。先の愛姫のセリフに直結します。
 
 すると、政宗は、太い指で夫人の右頬のえくぼを突いた。
 「なァンだ、京行きを悲しむのか、愛(めご)どのは」
 「殿は、悲しゅうはござりませぬか?」
 「この政宗が、なんで、こなたの京行きを悲しもうぞ。こなたほどの女性を、生涯この地で朽ちさせるのかと……それが政宗の嘆きであったわ」
 「まあ……殿は、わらわなどお側にいない方がよいと思召されて……」
 「待て! 待たぬか、愛どの」
 政宗は、今度は、両掌で夫人の顔をはさんで黙らせた。
 
 (毎日新聞社 『伊達政宗』第二巻 56ページから57ページ)
 
 
 素敵じゃないですか。健気じゃないですか。かわいいじゃないですか。そしてこの展開、令和4年の現代でも十分通じる――今風に言えば『むねきゅん』な展開じゃないですか。私は妙にドキドキしてしまいました。
 
 
 正室があって側室がある。男たるもの側室をたくさん持って子孫をたくさん残してこそ、という時代背景もあるかもしれませんが、とにかく政宗公と愛姫の仲睦まじいシーンには、すごく温かい気持ちになりました。今日はここでいったん話を切り上げたいと思います。

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