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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。


 これも11月15日に佐々木美術館&人形館を訪れた時の話なのですが、2階ではまた違った展示がありました。具体的な告知がなかったので、ぼんやり眺めて「ああ、よかったなあ」と言って帰ってきてしまいましたが、今調べてみるとコレだったのかな。

夜の美術館 2023/

 うん、そんな気がします。ひとつは映像作家・菊池士英さんとサウンドプロデューサー Ikuko
Morozumiさんとのコラボレーション作品で、佐々木正芳さんの作品が音楽とともに動き出すという一風変わった作品です。実に心地いい作品でした。
 そしてもうひとつも、ちゃんと書いていましたね。「東北生活文化大学高等学校映像研究部」の皆さんが制作したショートフィルムが数篇、リピート再生されていました。今日はこのうち、タイトルにもあるようにショートフィルムについての話をします。

   *

 高校時代は既に前世紀のことであり、むしろ自分の息子や娘がいてもおかしくない年齢でありながら独身者(離婚者)ですからね。それこそこういう機会でもないと見られない作品だし、私の弟者も学生の頃同じようなことをやっていたし。
 「さて、どんなもんだろうね」
 といって、すべての作品をしっかり見ました。そうしたところストーリィも作り込みも素晴らしくて、ただただ素直に楽しかったのです。その感想についてメモしていたので、それと会場でもらったテキストをベースに、この場でお伝えしたいと思います。瓶詰にして海に流すか風船につけて飛ばした方がまだ伝わる可能性が高い気もしますが(こないだの鉄腕DASHみたいに)、とにかく書きます。




 【消しゴムの回想】
 あらすじ:消しゴムとして生まれた主人公が自我を持ち、ある女の子に恋をする。友達の虎の消しゴムから、どうやらそれが自分の持ち主だということを知り、拾ってもらう日を待つが、最終的にたどり着いた真実は……。

 ちょうどこれが流れている途中で見始めたので1.5回分くらい見たのですが、最初からなかなか面白かったんですよね。主人公は消しゴムなので、別に立って歩いたりするわけじゃないのですが、自我があるから同じ消しゴム同士で会話をするし、誰かを好きになったりもするんです。ファンタジー、とは少し違うかもしれませんが、そういうところから出発するのが面白いなと思いました。エンドロールのNG集もなかなかシャレていますね。こういうの、あんまり最近は見なくなったなあ……。

 【かみひこうき】
 あらすじ:高校1年生の女の子「翼」は、紙に日時を書いて飛行機にして飛ばすと、その日にまた受け取ることができるという不思議なスキルを持っていた。親友の凛から英語のテストがあることを知らされ、その能力を生かしてテストを乗り切ろうとする……。

 ということは配布されたプリントに書いている概要なんですが、それを読まずにいきなり映画を見始めたものだから、いちいち感情を動かされました。そもそも翼は提出しなくちゃいけないプリントをいきなり紙飛行機にして窓から彼方に飛ばしちゃうような女の子なので、とりあえず何が起こってもすべてを受け入れよう! と思って……何か起こるたびに「さて、どうする?」とニュートラルな気持ちで見守っていました。たとい英語のテストでその特殊能力を使おうとしている翼を見て、「そんなことしていいの……?」と心配しながらも、「翼がどんな決断をしようと、どんな道を進もうと、私は見届けよう」と覚悟を決めて見ていたら……最後は未来に希望をつなぐ、何だかホッとするような、明るいエンディングでした。とても気持ちの良い物語だと思います。

 【ななし】 
 あらすじ:ななし様が何なのか知りたいの? それじゃあ教えてあげる。ななし様っていうのは、人々が何とかって願い事をかなえてもらうためにささげたいけにえに取り付くの。いけにえに選ばれた人に取り付くと自由に動けるんだけど、いけにえの身体がもうもたないって時には、ななし様がそのいけにえを食べ尽くして、新しい身体を探し求めるんだって。それがいつ、どこで選ばれるのかは……ねえ?

 奇妙な都市伝説を語る親友。そして主人公の女の子に襲い掛かる恐怖。こんなふうに、映像作品を見て怖いと思ったのは、すごく久しぶりな気がします。やっぱり私が「怖い」って思うのは東洋的な……要するに正体のつかめない、何だかわからないものにドンドン追い詰められていく過程なんでしょうね。あんまり残虐描写にこだわったものよりは、こういう薄気味悪い展開の方が怖いです。なお、この映画に関しては、私の言葉であらすじを書いてみました。
 
 【ライアードリンク】
 あらすじ:「オレ昨日100万円拾ったんだ」とかって、いつも嘘ばっかりついて面白がっているウソノは謎の男性から「ライアードリンク」っていうヘンな薬を渡される。それを飲むと、自分がついた嘘が全部本当になるっていう触れ込みだが、果たして……
 
 話した嘘が全部本当になるというとドラえもんみたいな話だけど、実際にそうなると結構怖いなと思いました。言葉通り「どんなことでも本当になる」とすれば、嘘をつきたくてもつけなくなっちゃうし、結果的に望まないことになっちゃうかもしれない。だから私は……もし、そういうのがあったとしても、いらないかなあ……って思いました。なんていうふうに、「もしも自分がウソノの立場だったら?」って目線でドキドキしながら最後まで持続できたのが良かったです。その終わり方もまた上手な……本当、世にも奇妙な物語みたいな終わり方で。これは良かったです!
 なお、この話は会場でもらったプリントに載っていませんでした。もしかしたら、そんな映画があったって話も、嘘だったのかもしれません。なんてね。

 【紙飛行機の少女】
 あらすじ:ある日、登校中に紙飛行機を拾ったユウタ。彼はそれが、友達の神木がいつも飛ばしていることを知っていて、尋ねてみる。「お前どうして、いつも紙飛行機飛ばしているの?」それに対する神木の答えは……。

 これは本当に真っ当な、さわやかな青春物語って感じですね。夢はあるけど実現のための一歩が踏み出せない神木と、そもそも自分の夢さえ見えず悶々としているユウタ。ただ、そんな友達同士の会話の中で歯車が動き出し、二人が新たなステージに向けて動き出す……うん、本当にまっすぐで素敵な物語です。あと、ユウタは美術部なんですが、白い画布に自分の思いをすべて描きつけるひとは良いなあ、って思いました。どんなものでも、自分の気持ち次第でどのようにでも表現できるんですからね。そう、どのような夢でも自分の気持ち次第なんです……。




 ……そんな感じでしょうか。最後に、総合的な感想を書きます。
 年齢的には本来であれば映画の中の彼ら彼女ら自身ではなくそれを見守る親目線だったり先生目線だったりするべきなのでしょうが、発達が一般の人たちよりもゆるやかな私は限りなく高校生の目線、高校生になった気分で見ていました。いわば、私の高校時代をもう一度やり直すような体験を、東北生活文化大学高等学校映像研究部の皆さんのおかげで、することができました。当時はこんなにさわやかで真っ当な青春を送ることができなかったので、それを取り戻すことができて本当に楽しかったです。
 それにしても、どれも本当に素晴らしい作品でした。私は写真の人間なので、映像作品がどのような工程を経て作られるのか全くピンと来ないのですが、少なくともひとりで作れるものではないですよね。俳優も撮影も監督もその他スタッフも……多くの人たちが力を合わせて出来上がったのでしょう。つくづく私に出来ないことをやってしまう皆様には「スゲーなあ」と感嘆するばかりです。
 その気持ちをずっと忘れたくないので、今回はこのような形で感想をまとめさせていただきました。とっても良いと思います!

2023年11月15日
佐藤非常口@仙台

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