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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
おはようございます

 昨晩は立て続けに映画を3本見ました

 いぬがみです。


 故・松田優作さんが『探偵物語』の予告編でそんなことを言っていました。かなり最終回に近い時だったと思うのですが『地獄の黙示録』『マンハッタン』『マリア・ブラウンの結婚』だったかな。

 私が立て続けに見たのは『ブレードランナー2049』『ザ・インターネット』『龍の忍者』でした。もうめちゃくちゃ。でも、いずれも面白かったです。『ブレードランナー2049』は当然ですし、「龍の忍者」は……いや、最初は真田広之主演だし、千葉真一の『影の軍団』みたいなものかなと思って借りたんですけどね。そうしたら、いきなりブルース・リー映画で見たような漢字のタイトルがバーン! と出て、「これって、もしかして香港映画だったの?」と驚愕。まあ忍者もカンフーも大好物ですし、内容的には足し算じゃなくて掛け算、倍の倍の倍になって大満足の一本だったわけですが。

 では、間に挟まった『ザ・インターネット』はどうだったの? というと、これは私のように少々……じゃないかな。ひねくれてひねくれてどーしようもないくらいひねくれた見方をすれば、とても面白いのです。また、いわゆるブロードバンドという言葉さえ聞かないくらい光回線が普及し、移動端末でもいよいよ5Gというやつが出始めた2020年現在だからこそ楽しめるところがあります。

 「ああ、25年前は、こんな感じだったのねえ」

 一言で言えば、そういうことなのです。


 主人公のアンジェラ・ベネット(1995年のサンドラ・ブロック)はフリーのプログラマー。今でいうテレワークスタイルで在宅勤務を主とし、クライアントとのやり取りは電子メールか、フロッピーディスクをレターパックみたいなのに入れて行います。ほとんど外に出歩くことはなく、夜は宅配ピザをかじりながらチャットで同じようなパソコンオタクと会話するのが楽しみという女性です。そういえば最近はチャットと言うのもあまり聞かなくなったな……。

 そんな彼女が、何だかよくわかりませんが国家や大企業が絡む重大な陰謀に巻き込まれます。

 まあ物理的に殺されかけるシーンもたくさんあるのですが、何よりも恐ろしいのはアンジェラの個人情報が「ルース・マークス」という別な女性のものに書き換えられているということ。自分の身元を証明してくれる人が誰もおらず(いても次々と抹殺される)、無実の罪で警察から追われるし、黒幕からも命を狙われるし、もはや発狂寸前です。

 そんなアンジェラが自分の人生を取り戻すために愛用のパワーブック(当時のMacintoshのノートパソコン)と行動力で活躍する……という話です。


 ただし、実際にパソコンやインターネットを使って何かをするシーンは、あんまり多くありません。カギとなるデータは物理メディア(フロッピーディスク)に保存されていて、いかにしてそれをネットワークの世界に持ち込むか、というのが物語の大部分だからです。

 だからSF的なものを期待すると、肩透かしを食らいます。

 サスペンスものとしては、ポンコツ映画愛護協会の古川土竜さんが触れられていますが、とある重大な欠陥があるためアレな感じです。(参照

 じゃあアクションものとしてはどうなんだというと、確かによく走ったり叫んだりするのですが、私はリンダ・ハミルトンと比べてしまうのでダメでした。まあサラ・コナーだったら自分を殺しに来た人間は軒並み返り討ちにするでしょうし、インターネットを使わず基幹コンピュータのある施設に潜入して担当者を脅して問題を解決するでしょうが。もちろん骨の1本か2本くらいは折ります。1本くらいなによ!


 この映画の楽しみは、最初に申し上げましたが、「1995年のネット世界って、こんな感じだったんだ」というのをある意味リアルに表現しているところを味わうことです。

 まずネットに接続するためにはモデムが必要です。ピーピーガーガーと音が鳴ります。私もそうでした。ある意味それは「儀式」のようなもので、異世界への扉を開くための呪文のようなものだと思っていました。

 また、常時接続が当たり前の今日とは違って、「アクセスポイント」に電話をかける必要があります。私たち一般市民からすれば、もしもアクセスポイントが遠くの街にしかなければ長距離電話をかけることになり、電話代がものすごくかさんでしまうのですが、アンジェラはそんなこと言っていられません。世界中のアクセスポイントにちょこちょこと接続し、逆探知しようとしている黒幕たちを混乱させます。Wi-Fi? 何それおいしいの? ええ、そういう時代ですから。

 そして必要なデータはフロッピーディスクに保存していました。読み込みも書き込みも今のUSBメモリなんぞとは比べ物にならないくらい遅いですし、磁気や温度にも弱いです。ついでに言えば、使い込んでいくとすぐにエラーが出て読み込み不可能になってしまいます。

 だから鍵となるデータを保存したり、それを電子メールに添付して送信するときに、追手が近づいてきてないかキョロキョロしながら「早くして、早く……!」とドキドキするシーンが成立するんです。1メガバイトの情報を保存するのにソワソワキョロキョロするんです。なんか、そういうところが楽しかったなあ。私がインターネットを私用で使い始めたのはその数年後でしたけど、結構、わかる部分があったから。


 最後になりましたが、この映画、過去にも一度見ています。それっていうのはなんと中学校の技術の時間。いわゆる情報処理の教材の一つとして先生が用意したのがこれでした。

 「最近インターネットっていうのがはやり始めてるから、一応、知識としてな」

 私も一応「授業でパソコンを触ったことのある」世代ですが、当時のパソコンは基本的にMS-DOSでした。一台だけWindows3.1が使えたけど、いずれにしてもインターネットは未知の世界。コンピュータによってピザを注文したり航空券の予約ができる一方、個人情報を書き換えられて大変なことになる……じゅうぶんにSF的な要素を感じることができました。

 それから25年が経って、当時サンドラ・ブロックがあれほど苦労して接続していたインターネットの世界に、私はスマホのテザリング機能を使って接続しています。本当に、素晴らしい時代になったと思います。

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 主人公のアンジェラ・ベネット(1995年のサンドラ・ブロック)はフリーのプログラマー。今でいうテレワークスタイルで在宅勤務を主とし、クライアントとのやり取りは電子メールか、フロッピーディスクをレターパックみたいなのに入れて行います。ほとんど外に出歩くことはなく、夜は宅配ピザをかじりながらチャットで同じようなパソコンオタクと会話するのが楽しみという女性です。そういえば最近はチャットと言うのもあまり聞かなくなったな……。

 そんな彼女が、何だかよくわかりませんが国家や大企業が絡む重大な陰謀に巻き込まれます。

 まあ物理的に殺されかけるシーンもたくさんあるのですが、何よりも恐ろしいのはアンジェラの個人情報が「ルース・マークス」という別な女性のものに書き換えられているということ。自分の身元を証明してくれる人が誰もおらず(いても次々と抹殺される)、無実の罪で警察から追われるし、黒幕からも命を狙われるし、もはや発狂寸前です。

 そんなアンジェラが自分の人生を取り戻すために愛用のパワーブック(当時のMacintoshのノートパソコン)と行動力で活躍する……という話です。


 ただし、実際にパソコンやインターネットを使って何かをするシーンは、あんまり多くありません。カギとなるデータは物理メディア(フロッピーディスク)に保存されていて、いかにしてそれをネットワークの世界に持ち込むか、というのが物語の大部分だからです。

 だからSF的なものを期待すると、肩透かしを食らいます。

 サスペンスものとしては、ポンコツ映画愛護協会の古川土竜さんが触れられていますが、とある重大な欠陥があるためアレな感じです。(参照

 じゃあアクションものとしてはどうなんだというと、確かによく走ったり叫んだりするのですが、私はリンダ・ハミルトンと比べてしまうのでダメでした。まあサラ・コナーだったら自分を殺しに来た人間は軒並み返り討ちにするでしょうし、インターネットを使わず基幹コンピュータのある施設に潜入して担当者を脅して問題を解決するでしょうが。もちろん骨の1本か2本くらいは折ります。1本くらいなによ!


 この映画の楽しみは、最初に申し上げましたが、「1995年のネット世界って、こんな感じだったんだ」というのをある意味リアルに表現しているところを味わうことです。

 まずネットに接続するためにはモデムが必要です。ピーピーガーガーと音が鳴ります。私もそうでした。ある意味それは「儀式」のようなもので、異世界への扉を開くための呪文のようなものだと思っていました。

 また、常時接続が当たり前の今日とは違って、「アクセスポイント」に電話をかける必要があります。私たち一般市民からすれば、もしもアクセスポイントが遠くの街にしかなければ長距離電話をかけることになり、電話代がものすごくかさんでしまうのですが、アンジェラはそんなこと言っていられません。世界中のアクセスポイントにちょこちょこと接続し、逆探知しようとしている黒幕たちを混乱させます。Wi-Fi? 何それおいしいの? ええ、そういう時代ですから。

 そして必要なデータはフロッピーディスクに保存していました。読み込みも書き込みも今のUSBメモリなんぞとは比べ物にならないくらい遅いですし、磁気や温度にも弱いです。ついでに言えば、使い込んでいくとすぐにエラーが出て読み込み不可能になってしまいます。

 だから鍵となるデータを保存したり、それを電子メールに添付して送信するときに、追手が近づいてきてないかキョロキョロしながら「早くして、早く……!」とドキドキするシーンが成立するんです。1メガバイトの情報を保存するのにソワソワキョロキョロするんです。なんか、そういうところが楽しかったなあ。私がインターネットを私用で使い始めたのはその数年後でしたけど、結構、わかる部分があったから。


 最後になりましたが、この映画、過去にも一度見ています。それっていうのはなんと中学校の技術の時間。いわゆる情報処理の教材の一つとして先生が用意したのがこれでした。

 「最近インターネットっていうのがはやり始めてるから、一応、知識としてな」

 私も一応「授業でパソコンを触ったことのある」世代ですが、当時のパソコンは基本的にMS-DOSでした。一台だけWindows3.1が使えたけど、いずれにしてもインターネットは未知の世界。コンピュータによってピザを注文したり航空券の予約ができる一方、個人情報を書き換えられて大変なことになる……じゅうぶんにSF的な要素を感じることができました。

 それから25年が経って、当時サンドラ・ブロックがあれほど苦労して接続していたインターネットの世界に、私はスマホのテザリング機能を使って接続しています。本当に、素晴らしい時代になったと思います。

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