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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
高校生~大学生の頃、『幻想文学』という言葉に、言いようのない甘美な想いを抱いていました。そういう文学を読み、そういう世界に親しむことが、何よりも楽しかったのです。

それは当時よく聴いていた筋肉少女帯の歌(そしてオーケンさんこと大槻ケンヂさんの言葉)に強く惹かれていたこともあるでしょうし、そういう年頃だったこともあるでしょうけど、まあとにかく私のパノラマ島にはそういった文学の雰囲気が満ち満ちていました。


あれからポンと10年が経ちました。いや本当に今年は大学を卒業してから10年目なんです。

去年あたりからものすごいペースで本を読みまくっているところですが、年齢が上がったせいなのか、それとも序盤に『龍馬がゆく』を読んだせいなのか、割と現実的な物語ばかり読むようになりました。戦国期とか幕末期とかを舞台にした小説のどこが現実的なんだ、という気もしないでもないですが。

今回、盛岡市立図書館で借りてきた『『夢÷幻視(13乗)=神秘――幻想・怪奇名作選』は、久々の本格的な幻想小説集でした。(13乗)のところは、本当は言葉の右上に小さく13と書かれています。

明治の元勲・枢密顧問官、子爵海江田信義のひ孫で東郷平八郎は義理の大伯父……という謎めいたプロフィールを持つ『ポチ』氏が古今の作家の幻想小説およびエッセーをかき集めて一冊の本にしたコレは、とにかく豪華なラインナップです。

倉橋由美子、村上春樹、連城三紀彦、津島佑子、夢枕獏、島尾敏雄、澁澤龍彦、芥川龍之介、三津木春影、梶井基次郎、富ノ沢麟太郎、郡虎彦、ネルヴァル。とりあえず書き出してみましたが、どうですかこのラインナップ。村上春樹と芥川龍之介が同居する本なんてめったにありませんよ。あ、ちなみに澁澤龍彦さんのはエッセーです。

村上春樹作品を読んだのは高校生の頃、医大に通っていた女子の先輩からもらった『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』以来でしたが、どうもなじまない感じでした。どこがどうダメなんだと全国3千万の村上春樹ファンから詰問糾弾を受けそうですが、どんな時でも何か取り澄ました雰囲気の『僕』がいけすかないというか、すわりが悪い感じがするのです。短編一本とはいえ、ちゃんと読んだから言います。私には、あまり村上春樹文学は合わない感じがします。

反対に芥川龍之介なんかは、やはりいいですね。これまでまともに読んだことがあるのは『蜘蛛の糸』くらいだったのですが、ウムム、さすが歴史に残る大作家だけあって面白いです。まあ、ようやく芥川龍之介が読めるくらいのレベルになったともいえますが。


ともあれ、久々に幻想小説のたぐいを読んだという話です。なお、コレに続いて読んだのは村山早紀先生の『人魚亭夢通信』。主人公は小学5年生の女の子ながら、怪盗とかライバルの盗賊団とかが出てくる、古きよき少年向け冒険小説(『怪人二十面相』とかそういうの)の空気をはらんだ小説です。ただ、それだけではなく過去と現在をつなぐ様々な伝説が絡み合った、とっても温かいファンタジー小説です。どう考えても小学生向けの本なんですが、たまにはこういうのもいいですよね。

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