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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 『月刊ヤングマガジン』がまだ『別冊ヤングマガジン』だった頃。

 私が読み始めた頃は連載作品よりもむしろ新人の読み切り作品がメインの感じで、それゆえ「この雑誌でしか読めない」「今後、もしかすると二度と単行本に収録されないかもしれない」ような作品がたくさん載っていたように思います。

 徐々に普通の? 連載マンガ雑誌になっていったので、毎号毎号買い続けることはしなくなったのですが、ともかく初期の連載マンガは結構、楽しんで読んでいたように思います。

 今回取り上げた『九十九眠るしずめ』もそうです。


 「3x3EYES」は一時期兄者が読んでいたものの犬神は手にとらず、「ブッキング・ライフ」は挫折(参照)した犬神、とりあえず最後まで読みきった高田裕三作品はこれが初めてでした。

 正直、軽く見ていたのですね。

 明治期の日本、で妖怪ものと言えば、すでに藤原カムイの『帝都物語』を読んでいたし、『陰陽師』もある。そんな中でこのマンガのウリと言えば、やっぱり主人公が可愛い女の子だっていうことでしょう? って。

 しかしながら、読み進めていくとそういった半端な理屈を粉砕するようなド迫力の戦いがあり、それ以上に激しい『人の生き様』が出てくるのですね。

 もちろん犬神は太平の世の中を生きてきたわけですから、作中人物の気持ちはわかりかねます。正直、その世界に犬神がいたとしても、どうすることもしてあげられなかったでしょう。

 ただ、そういった鬱憤と言うかやるせなさを、主人公・倉橋しずめを初めとする登場人物たちが根こそぎ救ってくれる。時に激しく、時に優しく。

 そして登場人物はもちろんのこと、それを読んでいる犬神のこころも、主人公の倉橋しずめに開いてしまっているのです。


 ものすごい大ケガをしても『菌核』を植え付けられることで生き延びてしまうというあたりが、どこか『無限の住人』を感じさせるところではありますが(ただし正確には『人の身体の力を糧にその菌が成長する』ので、どちらかというとバイオハザードみたいな感じなのかな)、ともかくこれは面白い。連載はいったん区切りがつきましたが、続編を切に希望するところであります。

 でも、これ、どんな方向に物語が転がっていくんだろう……なんて、そんなことは読者である犬神が心配する必要ありませんよね。とりあえず私はコミックスを手にとって、それを読めばいいだけなんだから。

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