昨日のことですが、青葉区錦町にある仙台アーティストランプレイスで開催中の企画展『旅するオイルパステル展-Reflection-』に行ってきました。
主催者の公式ホームページ内におけるイベント概要
さらに会場にあるステートメントも全文を引用させていただきます(傍線筆者)。
せーの、ドン!
少しでも心が動けば「へぇー面白そうじゃないの」といって、門外漢の気安さでホイホイ首を突っ込んでしまう私ですが、これは私も興味をそそられました。「内省と反射」。私も含め元々美術で自己表現をするタイプではない人類がほとんどだと思うのですが、そういう人たちが真っ白い紙の上にオイルパステルで表現した自己の心象世界というのは、文字通り十人十色です。巧拙や評価の基準は初めから存在しない自由な世界。
旅するオイルパステル展
-Reflection-
心の深層に潜む感情と自己探究の旅
Reflection ” リフレクション”
一内省一
リフレクションは内省という意味を持ちます。
SOKOAGE CAMP では自己と向き合い、 内省する作業が多くあります。
それは自分の深くにあるまだ出会うことのない感情と出会うことを意味します。
Reflection ” リフレクション”
一反射一
リフレクションは反射という意味を持ちます。
SOKOAGE CAMP は一人では成立しません。必ず他者が必要となります。それは参加者同士が対話を繰り返し、
自己と向き合う中で相互が反射しあうことを意味します。
自己と向き合うとは一体どんなことなのでしょうか?
それは、過去のトラウマに向き合うことかもしれません。それは、見たくない自分を見ることかもしれません。それは、孤独なことかもしれません。
それでも自己と向き合うのは、
きっと意義ある人生を送りたいからなのだと思います。
この展示会では来場者の 「あなた」 が作品を制作し、 展示することで出来上がっていく展示会です。 是非、じっくり 「あなた」の内面を表現いただければ幸いです。
こんな風に言われれば「そうかな!」としか言えないでしょう。全ての作品について、「そういうものなんだな」という認識で見て回り、そのことを在廊していたスタッフのオノデラさんに伝えたところ、
「せっかくだから、描いていきます?」
とのお誘いが。自分から率先してサッサッと描き出すほど積極的ではありませんが、そういうふうに水を向けられればすぐにダイヴィングしてしまいます。そんなわけで3x年ぶりにオイルパステルを手に取り、私のReflection――内省と反射の試みが始まったのでした。
初めにマスキングテープで縁取りをし(オノデラさんいわく「額縁みたいになる」から)、とりあえず手にしたオイルパステルを走らせます。心に浮かんだ風景――それこそ小学校の図工の時間に、風景画を描く時のように、草むらがあって太陽があって空があって……という景色を描こうと思ったのですが、このオイルパステルそのものの特徴が面白くて、もう景色とかどうでもよくなっちゃったんですよね。
特徴というのは、結構、顔料が濃いので線を引いた後指でこするとボヤ~ッと色が広がったり、別な色で重ね塗りをすると全然違う色になったり……ということです。そんなわけで、心が求めるままにオイルパステルを手に取り、「ここにこの色を重ねたらどんな色になるんだろう」とかって、未就学児のような思いで描き上げたのがコレです。
タイトルの『分光 -spectrum-』というのは完全に後付けのタイトルです。ADHDでASDの当事者として……ASDというのは「自閉スペクトラム症」というもので、感情がグラデーション的でうまく切り分けができない性質があるのですが、そういう自分の心を反射して投影したものがこれかな、って気がしたのでそうしました。どちらかというと心理療法みたいな感じですが、そういうふうに解釈すれば今回の企画展の主旨にバッチリかなっているんじゃないかなって気がします。
そしてこれを展示に加えていただくことになりました。それが1枚目の写真です。
別アングルから。……自分で描いた作品だから一番気になるのは当然ですが、異彩を放っていますね。まさか、こうしてSARPさんの美術展に私の作品が展示される日が来るとは……夢のようです……。
しかも、それだけでは終わりませんでした。来場していた方と(まるで関係者のように)話していたところ、私の絵はどれなの? と聞かれ……自分の絵のことを自分で説明するという体験をすることになってしまいました。もっともらしい理屈をつけてしゃべるのは得意なので、その辺はスラスラ語ることができましたが、これはもう望外の喜びとしか言えません。オノデラさんありがとうございます!!!
*
そういうわけで、これまでは「アートとか、見るのは大好きなんですけど、自分では全然やったことなくて……」と少し負い目を感じていたのですが、今度からは堂々と「自分で絵を描いて、それを展示してもらったことがあります」と言えるようになりました。美術展とは少し違うかもしれませんが、何度も通って素敵なアートに感動したこの場所に私の作品が展示されること自体が重要なのです。その事実が、私の気持ちを強く後押ししてくれるのです。
「これは私以外の人類にとっては小さな一歩だが、
私にとっては偉大な一歩である。」
私がこんなことを言っても、泉下のアームストロング船長も「まあ気持ちはわかるけどね」と笑って許してくれるでしょう。
今回得た一番大きな収穫は、私は「絵が描けない」わけじゃなくて「自分の心を絵で表現することに臆病だった」「どこに道があるのかわからなくて、一歩を踏み出すことができなかった」という私の心に気づいたことです。その一歩を踏み出すことができたのなら、あとは気持ち次第で何とでもなるはずです。この1年、いえ、仙台に拠点を移し生きてきた2年の間に、実際そういうものであると私は知っています。
去年から名乗り始めた「佐藤非常口」名義での活動。第2シーズンは、もうちょっとだけ美術で自分を表現できるようになる! を目標に、頑張って行きたいと思います。 Salut !
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