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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。

 改めて……さる3月16日、青葉区東勝山の住宅地にある中本誠司現代美術館で「さかいふうか個展 神様のいないせかい」を見てきました。ここに来るのは去年の10月以来ですね(前回はアンデパンダン展でした)。
 さかのぼって2月に三人展『胎に刺さったリボン』を見て私の中の女性性が強く共鳴(加えて、初めて私の服装を可愛いと言ってくれる方に出会った)し、卒展ではインスタレーション作品で体験的に可愛いの雰囲気を感じ取り、それからにがつのいぬとねこ展を見て、あとブログでは書いていませんが3/14にSARPで見た森敏美さんの個展『とっ替ゑ、ひっ替ゑ、すり替ゑ展』でもソロ作品それにトキワさん、かんのさんとの共同作品(注)と……2月以降の美術展で展示されたものは全部見ているんじゃないかってくらいの勢いで見ています。


「9の心」(にがつのいぬとねこ展にて)

(とっ替ゑ、ひっ替ゑ、すり替ゑ展にて。右はアレンジ前のオリジナル版)

 そして今回、満を持しての個展です。東勝山というのはそこそこ距離があるのでオートバイを出そうかとも思ったのですが、せっかく私の女性性を開花させてくれた方なので、私が持っているお洋服の中でも一番オシャレなものをチョイス。清楚系なのかロリータ系なのかわかりませんが、「とにかく可愛い鳴瀬」仕様で歩いて行ってきました。
とにかく可愛い鳴瀬

 ではここから、作品についての感想を少しまとめてみます。
 私だってさかいふうかさんの作品を見て大好きになった人類だから、このくらいのことは言ってもいいと思うのですが、さかいふうかさんの作品はやはりマゼンタがベースカラーなのだなと感じました。白でも黒でもなくマゼンタ(でいいのかな)。それが基調にあって、その上に描かれた可愛らしい女の子に私は「女性性」を感じました。
「夢幻クロニクル」

 ただ、可愛いだけじゃなくて……その笑顔の陰に潜み、うっすらと滲み出てくるような悲しさとか辛さとか……そういう単純ではない心の疼きを感じました。温かいマゼンタベースの色合いと愛くるしいキャラクターに心を開いて打ち解けるんですが、ただそれだけでは終わらない感情……切なささえも、さかいふうかさんの作品には、感じ取ってしまうのです。



 この写真の左側にある「魔法少女と呼ばないで」という作品は、2月の『胎に刺さったリボン』でも観ましたが、これを見た時にそう感じたんですよね。可愛いけれど、その可愛さに包み込まれた、隠された負の感情。でも、それは私でも誰でも持っている自然なものですから、かえってそういうところに安心したのかもしれません。
 ちなみにこの作品については、2024年1月30日の河北新報夕刊で同展が取り上げられた時に写真が掲載されたので、ご覧になった方も多いかと存じます。記事によれば、
美醜や年齢を重ねる不安と戦う女性を戦士に見立てる。ハート形のキャンバス、明るいピンク、光るラインストーンで「かわいい世界観」を組み立てた。
 とのことで、やはりこの作品がさかいふうかさんの作品に対する第一印象であり基調となっています。もう一度この場所でお目にかかることができてうれしかったです。

「思考故、葦のように」

 正誤の問題ではありません。とにかく私はそう感じました。そして、そのことを正直に発信することが私のするべきこと、大好きなさかいふうかさんの作品に対する至誠だと思うのでそうします。今回の個展で私の感性をフル稼働させて溢れかえった感情を言葉にすると、大体そういうことであると思います。

何でこれほどまでにそう思うかと言えば、やはり前回の「胎に刺さったリボン」と今回の個展それぞれに掲げられたステートメントを読んだからでしょうね。文芸オタクの美術好きはそう考えます。以下引用。
「神様はいなかった」
これは6年前の日記の一文。
6年前私は手を痛め絵が描けなくなった。
当時はこれが一生続くのだと思っていた。
今でこそ大きな不自由も無くまた絵を描くことが出来るようになったが、別に手が完治した訳でもなく当時感じた諦めの感覚はまだ確かに自分の中に残り続けている。
結局神様が本当にいるかどうかなんて分からない。
だがこの先どんな未来が待っていても、絶望することがあっても、自分の軸を持ち続けたいと願う。
もしここが神様のいない世界だったとしても、自分が自分の神様になるくらいの気持ちで生きていきたい。
 『胎に刺さったリボン』から卒展、さらにいくつかの展示を経て個展にたどり着き、実際にさかいふうかさんにお会いして気持ちを伝え(さかいふうかさんは感想を書きつけた私の手書きのノートをも、写真を撮るくらい喜んでくれたのです!)、今こうして写真を振り返りながら気持ちをたどっていると……可愛らしさと悲しみ……そしてその向こう側にある優しさと強さにたどり着きました。

『乙女信仰』

 涙をたたえているようにも見えるけれど、その目力は決してか弱くなく、強い意志をもって……それも、さかいふうかさんの「気持ち」なのかな? と勝手に想像してしまうのはファンの深読みと笑って御容赦いただければ嬉しいのですが……神様のいないせかいを生きようとしているのだ、と。そういう結論にたどり着きました。
 この作品も2月の『胎に刺さったリボン』展で初めて見たのですが、結構気に入っている作品です。その時にもユニコーンの角が雄々しさというか……弱さやはかなさに真正面から戦ってこれを乗り越えようとする強さが秘められているような気がして、印象に残っていたのかもしれません。今回の個展で改めて観て、それを思い出して……ステートメントに表現された、さかいふうかさんの強い意志が込められているように感じました。

「終わったはずのせかいで」

 これは卒業制作のインスタレーション作品の中にも飾られていました。タイトルは、今ある画像を拡大してそう読み取ったので正しいかどうか少し心配ですが、河北新報の紹介記事を読んだらそれであっていることを確認しました。
 卒展には2回行って、2回目の時に「作品の中に入り込む」という試みをしたのですが、不慣れだったり人目を気にして慌てていたりしてひどい代物だったので、今回改めて撮影しました。私が制作したわけじゃないんですけどね。でも大好きな作品と一緒に写るっていうのは、自然な気持ちですよね。

 

 ……今にして思うのは「何で絵の前に立つの!」ということですが……でもその時はこれが良いと思ったんでしょうね。仕方がありません。今回こうしてちゃんとした写真を撮ることができましたしね。うん、これはこれで良しとしましょう。



 こちらは今回お迎えしたドローイングと、卒業制作「夢幻クロニクル」の記録写真集です。私も自分で一生懸命写真を撮りましたが、こうして公式のパンフレットがあるのはとても嬉しいです。私が見て感じた世界観がさらに充実して、世界が深まります。そしてドローイング……私が普段ご飯を食べたりこうしてパソコンに向き合ったりする場所から一番よく見える場所に置いています。ふっと見ると、いつでもそこにさかいふうかさんの手で描かれたものがあるという幸せを感じながら、私も生きていきます。
 
 最後になりますが……今回は本当に素敵な時間を過ごさせていただきました。私が来館してから少し遅れて来られたさかいふうかさんは、ベージュのワンピースにヘッドドレスをつけて……いわゆるロリータファッション? なスタイルでした。
 その恰好が作品の世界観同様とても可愛らしいのは言うまでもありませんが、私も私にできる限り頑張って考えた「とにかく可愛い鳴瀬」のコーデを「素敵なお召し物ですね」と褒めてくださったのです!!! 
 感想を聞いてくれて、待ち時間にまとめていたノートを「嬉しいです」と言って写真を撮ってくれて……私の方も気絶しそうなくらい嬉しくて、その勢いに任せて一緒に写真を撮ってもらいました。これは別にSNSに投稿するためとかじゃなく、本当に、この日の思い出を残すための記念写真です。

 可愛い服を着て生きること。
 美術展があれば積極的に行くこと。
 感想をノートに手書きでまとめること。
 
 これまで(特にSNS休止後)一生懸命に頑張ってきたことの全てが結実し、今回こうして素敵な体験ができました。先日書きましたが、私は自分の感性を信じます。自分が良いと思ったことを受け入れ、良いと思った方を向いて生きていきます。今回の、さかいふうかさんの個展で私が体験したことは「みきわめ」をもらったものと受け止めます。
 卒業? そう言っていいのかもしれません。
 メディフェスせんだいから1年。色々と悩んだり立ち止まったり飛び降りたりしながらも、こうしてひとつの作品――文章を書くことが得意な私にとって、手書きのノートに書いた感想文は「作品」のようなものです。それを、さかいふうかさんが受け入れてくれたのだから、私は堂々と「作品」であると宣言します!――を作り上げることができたのだから、新たなステージへ進みます。

 さかいふうかさん、今回は素敵な時間を過ごさせていただきました。もう一度、別な機会にお会いできることを楽しみにしております。個展があれば絶対に行きます。
 ありがとうございました!




(注:これは厳密に言うと東北生活文化大学の学生として本名で制作したものを森敏美さんがアレンジした作品なので、少し違うかもしれませんが、卒業制作も同じように学生として本名で出展していたのだし、いいですよね。この展示も素敵なものだったのでいずれ改めて書きます!)

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