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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
こんにちは

 ユング『無意識の心理』を再読しました

 高杉です。


 これは今からなんと100年以上前、1916年に書かれた本です。それが最初に翻訳されたのだって、昭和31年(1956年)でありますから、まあ半世紀以上前の話です。私の手元にあるのは、その1956年版をベースに若干の字句訂正をして1977年に出た『復刻版』を、2017年にリニューアルした『新装版』ですが、文章そのものは基本的に100年前のチューリッヒでユング博士が見た世界です。

 「この小著をして著者自身の諸見解の一般的入門書たらしめようとした」

 確かに序文でユング博士自身がそうおっしゃっています。ただ、最近はサブカルチャー的な場面でもよく聞く『影』とか『ペルソナ』とか『アニマ』とかが一体何なのか? ということを「手っ取り早く」知りたいのなら、お手持ちのスマホで検索すればよろしい。「わかりやすく解説してほしい」というのなら、岩波現代文庫の『ユング心理学入門』がおすすめです。河合隼雄先生の文章はとても易しく、また日本人が書いた文章なので割と受け入れやすいと思います。私も最初はこれを読みました。

 なんでわざわざこんなことを言うのかといえば、これはユング博士が41歳のころに書かれた本だからです。さらに言えば、この本のベースになっているのは1912年に発表された論文『心理学の新しい軌道』……そう、フロイト博士と決別して自分の道を歩み始めたころに書かれた本だってことです。

 そもそも著者たるユング博士自身が序文で「読者に対してかなりの忍耐と注意とを要求するものである」と言い、結語では「これほど多くの難解な新奇な事柄を敢えて盛り込もうと企てたことに対して読者のお赦しを願わねばならぬ」とお詫びの言葉を述べておられます。

 だから、帯に書いている言葉を信じて「ゲームで言ってるペルソナってユング心理学の言葉なんだよね? 面白そ~私も興味あるしぃ~でもどれから読めばいいかわかんないし~あっこれユングが書いてるじゃん入門書って書いているしこれにしよ~っと♪」と喜び勇んで本を開くと、こんな感じになると思います。



 でも、1回で理解できなくたって、いいんです。1回でわからなければ3回も5回も読めばいいんです。そのタイミングだって、3年後5年後だっていいんです。そうすれば色々な意味でパワーアップして、前よりも(たとい1%でも)深く理解できるはずだからです。


 で、今日いちばん言いたかったこと。

 ことに心理学というやつは、いつの時代も新発見があり新理論があり新見解が生まれるものですよね。私も新しい言葉に飛びついて、アスペルガー症候群を自閉スペクトラム症と言い換えたり、「自分は発達障害と診断されたけど、これは愛着障害じゃないか」と考えてみたり。まあ色々とありますが、今回『無意識の心理』を読んでいると、

 「なんだ、別に新しいものに飛びつかなくても、ユング博士が言ってるじゃないか」

 と「腑に落ちる」ことが何度もありました。少なくとも10回以上。


 私は学者でも医者でもなくて良かったなと思います。そもそも医者にすら見放された人間ですが。

 なぜなら、自分が納得するものを自由に探して、自由に取り入れて、自由に生きることができるからです。

 少しでも楽しく生きるために、私は全力で生きていきます。いつも無意識と対決し、自我に取り込みながら――時に周りの人たちとの衝突とか和解とかを経験しながら――生きていきます。

 そのなかで、いつでも何でも読み返すことができるように、ユング本3冊(『無意識の心理』『自我と無意識』『分析心理学』)は、いつも手元に置いておきたいと思った春の日でした。

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