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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
おはようございます

 青森県に住んでるのに「斜陽」は読んだことありません

 いぬがみです(不勉強でごめんなさい)。


 じつに20年前になるでしょうか。そう西暦2000年に刊行された「S-Fマガジン 2000年6月号」を本棚から引っ張り出して読んでいます。

 直接的なきっかけとしては、さらに2週間くらいまえ、本屋で買ってその包装紙さえ開けていなかったS-Fマガジン2011年8月号を、9年近い年月を経てようやく開封したから。その時は、今や世界的いや宇宙的な人気となった初音ミク特集で、たぶん涼宮ハルヒのユリイカ(文芸誌『ユリイカ』で特集が組まれたんです)と同時期に買ったものと思われます。

 もともとSFは好きなんですが、何せ入り口が「ドラえもん」で好きな映画は「ターミネーター」という、SF好きというか「そーいうジャンルのアニメが好きなオタク」です。

 それから20年が経過した現在はどうなったかというと、まあ基本的な属性は変わらないのですが、ほんの少しだけ進歩しました。この2000年6月号で特集されているフィリップ・K・ディックに関しても、全然知らないというわけではなく、

 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
  テレビで見たからいい。ブレードランナーだろ」

 という会話ができるくらいにはなりました(※)。逆に言うと2000年当時は「ブレードランナー」さえ見たことがないのにS-Fマガジンを買っちゃったんです。生まれて初めて読んだSF小説がフィリップ・K・ディックですよ。それをどう受け止めるかは生粋のSFマニアの方々の主観に委ねますが、とにかくそんな感じです。

 ただ、それ以外の総合的な能力は底上げされ、ジャンルにとらわれない基本的な「本を読む力」に関しては大学時代よりもずっとアップしているのでね。入り口は初音ミクだったとしても、ちゃんと一通り読むことができました。そしてSFの世界の味を「おいしい」と感じ、もっと味わってみたいと思って、再び手に取ったのでした。


 フィリップ・K・ディックは当時でさえ古典SFの時代の人ですから、今読んだって色あせることないマスターピースだと思うのですが、それに付随する解説文だとかエッセーだとかは2000年当時の空気を含んでいます。そして、そんな当時の空気を私の脳に送り込むことによって、私自身の個人的無意識の引き出しにしまい込まれていた記憶が引き出され、「昔を懐かしむ」という言葉では物足りないくらいに当時のことを思い出すのです。

 ここでどうか、ド素人SF野郎の戯言をお許しください。

 それはまさに私にとっての時間旅行です。あくまでも私が体験したことがベースですが、そこに補強を加えることによって、より深くリプレイができるような気がします。それは映像でもいいんですが、やっぱり文章の力がいいですね。その方が自分の脳をたくさん活用させなくちゃいけない分、精度が上がるから。

 大切なことは(自分が体験した)過去がどういうものだったかを、できるだけ細かく思い出す精度。そして、過去に行ったきりにならず、現在さらに未来を生きようとする気持ち。そうやって過去を楽しむとの同じくらい現在を楽しみ、さらに未来へ楽しみのエネルギーを先行投資する――そうやって天秤をつり合わせ、こぼれないようにしながら、少しずつオモリを増やしていくのが、いいのかなと思います。

考えることがたくさんあると、人生は楽しいんです。


 ※ てんとう虫コミックス『ドラえもん』に収録されている「人間ブックカバー」の話を参照。出木杉くんから宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を薦められたのび太くんが、松本零士氏の『銀河鉄道999』のことと勘違いして、「テレビで見たからいい」と断ったエピソードがありました。これはそもそも別作品ですが、原作小説と映画化作品では色々違うのだということを考える時、いつもこのやり取りを思い出します。

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