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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 『刹那 獣の奏者外伝』を読みました。

 これは本編の第2部と第3部の間に起こった出来事をまとめたものです。主人公のエリンがその後の人生のパートナーとなるイアルと出会い、息子・ジェシを授かるまでの物語と、エリンの師匠であるエサルの若き日の物語、そして2歳になったジェシのちょっとしたエピソードの3篇が収録されています。


 私の場合は相手の温度を身体中で感じられるようなパートナーはいないのですが、上橋先生の文章で読んでいると、なんか……つかの間、それを感じられるような気がするんですよね。
 
 ただ、それは萌えの感情とは少し違う気がします。もっと生々しい感じ。人間として生きている中で積み上げてきた色々なものが意味を成さないような、もっと原始的な感情。

 多分それは挿絵がまったくないからだと思います。まず視覚を通して「あ、可愛いな」と思うのではなく、文章を読むことでもっと深いところからこみ上げてくる感情。それがじわりじわりと身体中に広がっていくから、こんな気持ちになったのかもしれません。


 そういった経緯で精神的な体温が上がったので、なかなか冷めません。これに限らず『守り人』シリーズも『狐笛のかなた』もそうだったんですけど、心の奥深いところからグググッと力がこみ上げてくるような効果が得られるんですよね。

 それはきっと、みんな、色々と困難な場面に向き合うけれど、よく考えた上で踏み出すからなんでしょうね。生まれた家のせいだとか、世の中の仕組みのせいだとか、色々な理由があるにせよ、何とか自分の意志を貫こうとする力の強さ。エリンもそうだし、イアルもエサル師もそう。

 そして、ただ感情の赴くままにやりたい放題をするのではなく、しっかりと考えに考えた上で、そういった道を選ぶところに、私は力をもらっているんだと思います。周りから見ればひっくり返るようなトンデモナイことに見えても、その決断にはしっかりとした理由がある。理由があるから、その決断も力を持つ。そういうことなのです。


 なんか、あまり上手にいえませんが、また力をもらいました。今の私の仕事もかなり大変な状況で、ともすれば不平不満をこの場所で並べ立ててしまいたくなりますが、そんなことをしても仕方がないですからね。そうやって吐き出す前に読みきれて、よかったと思います。



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