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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
先日帰天した叔母の遺品整理を手伝うべく、叔母の遺骨が安置されたアパートに行ってきました。

 といっても、別に形見分けという感じではありませんでした。既にセレモニーは終わっているし、大まかな整理は伯母夫婦と従姉が行っているので、私はといえば実際のところ、
 
 「処分する前に、欲しいものがあったら持って行っていいよ」

 と言われたので、アレコレと良さげなものを物色し持ち去る……そんな感じです。不人情だの泥棒猫だのと言わば言えです。先述したようにセレモニーは終わっているし(百か日の法要まで先回りして行った)、天の国にはいる時は何も持たずに入るものなので、ここにあるのはリサイクルされるかどうなるかという物質に過ぎないのです。

 そしてひと段落した後は伯母の家の粗大ごみ搬出を手伝い、最終的には焼肉とビールで久々に体に栄養をつけて帰宅し10時間くらい寝て現在に至ります。体力ゲージ全快です。


 今はアレコレもらって来たものがゴチャゴチャと部屋の中にあるので、これをどう組み込んでいくか。生きている私に課せられたミッションが生まれました。電子レンジは私も持っていたのですが、シャープの多機能なものを引き取って来たので入れ替えます。型はちょっと古いけど、ついにグラタンとかトーストとか焼き物ができるのでね。大きく変わろうとしている感じがします。

 あとは電気ストーブなんかも2台もらっちゃいました。既に1台あるので、3台もあります。これなんかは、特に不便を感じていなかったのですが……やっぱり気持ちがあるのかな。あくまで物質に過ぎないものだけれど、やっぱり叔母が遺したという……ね。多分遺そうと思って遺したのではなく、そういうことを何も考えることもなく帰天してしまったのだと思いますが。



……人間には二つの種類があるようだ。すなわち、より良くより自由に生きるために、死をその頭のなかから追っ払ってしまう人間と、逆に肉体の感覚や外部世界の偶然を通して、死が自分に送ってくれる合図の一つ一つに死を感じれば感じるほど、ますます自分が懸命に強く生きているということを自覚する人間である。この二つの種類の人間は混り合わない。前者が病的偏執と呼ぶものは、後者にとっては英雄的な訓練なのである。どちらをお選びになるかは読者の御自由である。
 (M・ユルスナール「三島由紀夫あるいは空虚のヴィジョン」141ページ3行-8行)


 こういう人間なので、「もう自殺するしかないのか」と思ったことは何度かあります。一方で、何とかそれを遠ざけようとするし(だから今こうして生きているのでしょう)、大好きな人がそんなことを言っていれば全力で止めます。ただ、やはり叔母が帰天したのを切っ掛けに、死というものは、いつも鼻を突き合わせる距離にあるものだというふうに考えるようになりました。

 なので、いつ天に召されてもいいような境地を目指して生きることにしようと思いました。無理して考えないようにしたって厳然とそこにあるのだし、わざわざ自死する必要も無いし。と言いつつ一生そんな境地に達することができないままフッと帰天することになるんだろうな……という気はしますが、それならそれでよろしい。生きているうちにしか出来ないことする。私は私の生を全うしたいと思います。

 そのために色々と考えたり行動したりしているのですが、もうひとつ最近は「遺したい」ということを考えるようになりました。私がどう考えてどう行動したのかを遺したいという気持ちですね。これまでもホームページの日記でありこのブログであり、色々な形で20年くらいの過去を遺してきましたが、それがいよいよ大事に感じられるようになったのです。

 本来であれば、ノートに手書きで遺すのが一番いいんですけどね。私が大好きなユ、六萠さんやペロンミさんの創作ノートを個展で見た時に、ふわっとインクのにおいを感じるくらい一生懸命に書き込んだ内容に衝撃にも似た感動を覚え、「これだ」と思ったのですが……私は長いことデジタル的に遺しているのでね。クラウドにバックアップしているので、そう簡単に無くなることはないと思うのですが、やはり紙に書くのが一番です。

 松山俊太郎なら「僕は自分が死んだ後のことなんて考えない」というでしょうが、私は自分がどう考えて、どう生きたのかを、できる限り誤解されないよう遺したいと思います。

 ※ ユルスナールの引用以降の文章は別日に書いたものです。体調不良で今一つまとまらなかったのですが、今回の遺品整理の話にからめてニコイチで公開させて頂きます。

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