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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。

 イーハトーヴォのことばで盛岡はモリーオと言いますが、塩竈のことは「シオーモ」そして仙台のことは「センダード」と言います。
 仙台に引っ越して来て間もないころ、かつて修学旅行で来た塩竃に行った時に知った言葉なのですが、その頃から盛岡と仙台のつながりについて意識していました。
 仙台に引っ越して2年近く経ち……ようやく私も仙台市民として馴染んで来たからかな……わずかな滞在時間でしたが、盛岡という街に対して「帰ってきた」という感じがしました。それまではあまり、こういう感覚はなかったんですよね。ごく当たり前の風景って感じで。
 そんな仙台市民の眼でいつもの風景を見て「おおっ!」と思ったことを忘れないうちに急いで書きたいと思います。
 
 その1「岩手銀行赤レンガ館」
 ニューヨークタイムズで紹介された今でこそ盛岡名物になりましたが、盛岡市民にとっては「岩手銀行中ノ橋支店」以上の存在ではなかったんじゃないかな、という気がします。確かにレトロ感爆発の建物は素敵ですが、いわゆるエモいとかっていうわけじゃないんですよね。ずっとあり続ける建物だから、函館の赤レンガ倉庫に行った時のようなときめきがない。
 大体にして盛岡の人は奥ゆかしいので観光で来たという人に対して「盛岡に観光? 何を見るの」「なんにもないですよ、盛岡なんか」と言います。その代わり、そういう「日常の景色」を何十年でも守り続けるような気持ちがあるんです。私はそうです(これでも盛岡で三十数年生きていた身なので、そう言ってもいいはず)。
 だからこんな絵はがきみたいな写真を撮ってみました。駅から降りたら盛岡城址を見て中ノ橋を渡って赤レンガ倉庫を見て肴町アーケードの雰囲気を感じつつ東屋で蕎麦を食べるのが、一番盛岡を感じられるおすすめコースです。
 
 その2 「キリン書房跡」
 これは全く私の個人的な話なんですが、このキリン書房というのは盛岡でも老舗の古書店でした。天井いっぱいまでの本棚にぎっしりと並べられた、ちょっと色褪せた古本たちを見て回るのは実に楽しくて……特に大学時代にはレポート・卒論の資料探しと称して通いつめ、ルイス・キャロル関係の本を買い求めたりした思い出があります。残念ですが、仕方がありませんね……気持ちにけじめをつけるために、写真を撮りました。

 その3 「川徳百貨店」
 盛岡の中心にある老舗百貨店です(創業は慶応2年!)。2023年4月から新体制に移行し、雰囲気が大きく変わったところといえば、やはりこれですよね。そう屋上! デパートの屋上! でも昭和レトロじゃなくて、令和のデパートの屋上なんです! まさか川徳の屋上に再び立つことができるとは思っていなくて……嬉しくてこんな写真を撮っちゃいました。
 この日は特に何もイベントが行われておりませんでしたが(寒いですしね)、コンクリーむき出しではなく芝生を全面に敷き詰めているのが令和って感じですよね。こういう下地を作っておいて、色んなイベントを開催する。良いと思います!

 その4 「開運橋」
 盛岡駅と市街をつなぐ橋です。遠方から赴任してきた人は「こんなところまで来てしまった」と泣きながら橋を渡り、任期を終えて帰る時には「この街を離れたくない」と泣きながら橋を渡るという伝説があり、そのために「二度泣き橋」という異名を持ちます。この話、朝ドラでも語られていたようなそうでもないような……どうだったかなあ。それはともかく二度泣き橋という異名があることは本当です。
 今回、実際にこの橋を渡ってみたところ、「こういう気持ちだったのかな……」という感慨がわいたので、写真を撮りました。盛岡には他にも擬宝珠のついた古風な雰囲気の「下ノ橋」など、良い橋がたくさんあるんですが、開運橋もいいですね。この時点では泣きませんでしたが、このあと新幹線で本当に盛岡を離れようかという時には……。

    *

 そんな感じで「仙台から盛岡に観光に来た人」の気分で街中を歩いて気に入った光景などをいくつか掲載してみました。
 私のこころの中にある盛岡の景色とは大分変わってきているので、ノスタルジーはあまり感じませんが、それは「街が生まれ変わり続けている」ことの何よりの証左です。耐震強度とか何とかって言う物理の壁は越えられません。でも盛岡人は昔ながらのものを大切にする気持ちが強いから、新しく造るにしても雰囲気を残しつつ造り……そして出来上がったものには、古さと新しさが渾然一体となった不思議な空気が生まれるのです。
 なんて、こんな風に感じるのも私が盛岡人のこころをずっと持ってるからなのかな。新しいものを取り込むにしても、古いものの良いところは残して生かす。つまりアナログハートです。

 モリーオ、とっても良いところです。
 おでってくなんせ。

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