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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 坂井三郎氏の名著「大空のサムライ」を読み終わりました。

 戦後の反戦一辺倒な教育を受けてきた犬神が、クロスカウンターばりの激烈な衝撃を受けたのは高校生のころ、小林よしのり氏の「ゴーマニズム宣言 戦争論」を読んだ時でした(その前にも「図説 帝国陸軍」という本を読んで、軍隊というのは厳しいながらも、それだけではないのだということはよくわかっていましたが)。

 なんというか、それまで作り上げられてきたものが根こそぎぶち壊されたような感じでした。案外と、思っていたよりは、暗くないのですね。その、実際に戦争に参加して大陸なり何なりで生死の危険にさらされている……はずの皆様が。

 以来、「実際に参加した人はどう思っていたのか」と言うことを中心に、いいとか悪いとかと言うことを脇に置き、色々知りたい、そしてきちんと理解したいと思い、様々な本を読んだりしています。


 コレを読んで思ったのは、とにかく戦闘機の操縦とは大変なのだということ。それは私がせいぜいビデオゲームぐらいでしか体感したことがないから当たり前なのですが、操縦かんを引っ張る腕力もそうですし、三次元的に飛んだり回ったりする技術もそうなら、「コレくらいの距離なら弾が届くまでにこのくらいかかるな」とか何とかと言った数学的な計算も瞬時にこなさなければならない。ついでに言うなら無線がないから、仲間に何かを伝える時は風防を開いてジェスチャーで伝えなきゃならんということで、そういった感覚も必要なのかな? とも思いました。

 そして胸を打たれたのが、坂井氏の生への強い気持ちでした。wikipediaにも書かれていますが、ガダルカナル島上空で重傷を負ってなお生還したのは、とにかく強靭な精神力、「努力と根性」というと陳腐な感じになってしまいますが、つまるところそういうものなのだろうな、と思いました。

 あとは、飛行機乗りの人たちというのは随分サッパリしているのだな、ということ。「死んだらその時はその時さ」みたいな感じで、戦争末期、硫黄島で連日の爆撃、そして艦砲射撃を受けて飛行場が壊滅した時も意外と冷静に敵艦の種類を言い合ったりしていたそうです。

 タイトルの「飛行機乗りさん」というのは、ともすれば某巨大掲示板のアレみたいに聴こえますが、もちろんそんなのではありません。呉に行った時「海軍さん」という呼び方があるのを知り、それ以来親しみと尊敬の気持ちがもっとも伝わる言い方だなと思って、あえてこういう言い方をしたものです。


 実際、本編は時々くすぐったくなってくるようなユーモアがあり、また米軍にもそのユーモアを解する余裕がある(こともあった?)ということが書かれています。そもそももっとも危険にさらされているはずの兵隊さんがこんな調子なので、やたらと戦争の悲惨さばかり訴える人たちの言葉もかえって軽く感じられてしまいます。たぶん、どちらもその通りなのでしょうから、どちらが正しいというつもりは毛頭ありませんが、「戦争論」でよしりんさんが語っていた通り、戦争は悲劇ばかり生み出すものではない、ということなのかもしれません。

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