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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 和製ブルース・リーといえば倉田保昭ですが和製ジャッキー・チェンといえばこの「刑事物語」の武田鉄矢である、というと……「アホか」と言われそうですが、とにかくそう思いました。

 まじめで熱血で、そして純粋すぎるゆえにアホ女子高生やトルコ(という名の特殊浴場)嬢に懇々と説教くれるし、サギ師にコロリとだまされる。だから普段は煙たがられるのですが、相手が拳銃を持っていても臆せず近づき、必殺の蟷螂拳で必要以上に相手をボコボコに痛めつける……。

 「冗談のわからないジャッキー・チェン」とでも言いましょうか。とにかく中盤以降、腕っ節で悪党たちをぶちのめした挙げ句、最終的には遊戯シリーズとかの、冷静ゆえに怖い松田優作みたいになります。

 スゴイ、と思ったのですね。

 このために数ヵ月前から身体を作り、さらにはその道の専門家に教えを請うたというのはいまや周知の事実でありますが、そのためか大変にスピーディで強力そうな攻撃なんですね。何となく、ハンガーを振り回すよりも素手の方が痛そうな気もしますが、木のハンガーの硬いところで殴られたら、やっぱり痛いのかな。試したくはありませんが。


 まあ、そういうカンフー? アクションを見たくてこの映画を借りたのですが、ストーリィも無視できませんでした。博多のトルコ(という名の公衆浴場)で拾ってきた聾唖の女の子との共同生活。愛とは何か? みたいな、普通の人が言えばしゃらくさいテーマも、博多弁の大仁田厚(ただし全盛期)みたいな武田鉄矢にズズズイッと迫られ、汗まみれで絶叫されては誰も何も言い返せません。

 その物語を彩る脇役たちもなかなかのものです。

 無言でヒロインの女の子にグイグイ迫る気味の悪い男を田中邦衛が演じ、ついつい行き過ぎてしまう武田鉄矢と他の署員たちのクッション兼まとめ役は小林「キャップ」昭二、そして見ている私も「本物か!?」と劇中の樹木希林さんバリに驚いた高倉健(さん)……。

 はっきり言えばどいつもこいつも日焼けして暑苦しくて、それゆえ実に渋くて熱い雰囲気を全体ににじませているのですね。むしろ健さんが一番爽やかに見えるって、どれだけみんな暑苦しいんだと。


 見終わって今、こうして感想を書いていると、その映画のよかったところがしみじみと感じられます。一言で言うなら「口よりも先に手が出る寅さん」といったところで、やっぱり主人公とヒロインが結ばれてハッピーエンド……というよりは、主人公があえて身を引いて、ヒロインとライバル的な人間が結ばれる、というのが日本的で好きなんですよ私は。

 武田鉄矢のアクション目当ての人も、普通にドラマが好きな人も。70年代カンフー映画をすべて見終わってしまった方は、ぜひコレを見るべきだと思います。

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