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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 「フラッシュダンス」と一緒に借りてきた「餓狼伝」を見ました。

 内容は、原作のいくつかのエピソードをごたまぜにしてそれを95分の長さに編集したといった具合で、序盤(プロレス道場に行って、梶原に返り討ちにされる)は同じですが、そのあとは河野さんに教えを請い、成り行きで土方と仕込杖vs素手の格闘を強いられます。ちなみに河野さんは、原作では小さなバーを経営していましたが、こちらではデートクラブの用心棒にまで落ちぶれています。トホホ。

 あとは泉宗一郎さんが割と人格者になっていたり、石橋雅史氏演じる松尾象山がイマイチ強そうに見えなかったり、姫川が色男じゃない(どちらかというと藤巻十三っぽい、重苦しい強さを感じさせる)など、原作のイメージを一部ぶち壊している感もありますが、それでも本物の空手家・八巻建弐さんと本物のプロレスラー・石川雄規さんが真剣勝負を演じ、さらに石川さんと師匠の藤原組長が本気のプロレスを繰り広げるなどド迫力の格闘映画であります。


 結構、血も出ます。特に大杉漣さん演じる土方は原作どおり、容赦なく人を斬りますし、斉藤先輩もやっぱり喉を掻き切られて死にます。さらに丹波は肘で相手の額をカットしたりしますし、最終的にはお互い血みどろになりながら殴り合い、蹴りあい、関節を取り合い、命のやり取り――真剣勝負をします。

 あとは、この手の映画ならロッキー以来の定番、特訓シーンも見もの。空手の「押す筋肉」に特化し、完成した丹波の身体を河野さんがサンボの「引く筋肉」に作り直すため、たっぷり時間を掛けて筋力をつけ、そして関節の取り合いを練習し、さらにスパーリングをこなします。

 プロレスの流れの中で、関節の取り合いをすることは見えましたが、サンボなどの「関節の取り合いがすべて」な戦いは初めて見ました。さらに言うと藤原組長演じる川辺さんと梶原の戦いも、プロレスラー同士ではあるものの、実に地味な関節の取り合いが中心で、それゆえじっとりと熱くなってしまったのですね。


 だから、本気の格闘技が好きな人が楽しい映画だと思います。

 バイオレンス映画といって、ナイフやドスをビュンビュン振り回して血がいっぱい出たり、拳銃をばかばかばかばか撃ちまくって人がたくさん死ぬ映画は嫌いです。この映画も素手(一部、仕込杖)で人をぶちのめすし、血も出るし、バイオレンス映画には違いないと思いますが、どこかスマートなというか、クリーンな印象があるのですね。

 あいにくDVDにはなっていないので、気軽に見られないかもしれませんが、古いレンタルビデオ店の、邦画コーナーの片隅に眠っていたら、是非ご覧になることをオススメします。

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