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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。


 先日、一番町商店街でこのような催し物がありました。愛媛県宇和島市は仙台市と姉妹都市であり、時々こうしてイベントがあるのは見ていましたが、今回はちょっと積極的に見て回りました。



 残念ながら私が行ったタイミングでは、この夢のような蛇口は休止しておりましたが、素晴らしいじゃないですか。蛇口ひねったらジュースが出て来るって全国の小学生が一度は夢見たドラえもんの秘密道具級の代物ですよ。その代わりパックに入ったみかんジュースを1本買って帰ってきました。みかんといえば沼津でしたが、ここは姉妹都市のよしみがあるので、宇和島のみかんを推して参りましょう。

 ところで、何で宇和島市が仙台市と姉妹都市なのかと言えば、これは400年前の歴史的な出来事に由来します。すなわち宇和島藩の開祖『伊達秀宗』は我らがお殿様で仙台藩祖・伊達政宗公の長庶子なんです。そのことは漠然と知っていましたが、今回わかりやすい絵本のパネル展示があり、それを丁寧に眺めることで大きな感動とともに宇和島市への思いが強くなりました。今日はそのことをまとめてみたいと思います。

 

 のちの伊達秀宗こと兵五郎は1591年に生まれました。長らく子供に恵まれなかった政宗公にとっては初めての子どもであり、しかも男子なので「御曹子」として両親からも家臣からも大切に育てられました。

 当時の天下人だった太閤豊臣秀吉は大名たちに妻子を人質として差し出すことを強制していて、兵五郎も人質として京都伏見城に住むことになりました。とはいえ太閤が可愛くて可愛くて仕方がない秀頼と二歳しか変わらない(兵五郎の方が年上)ので実質的には秀頼の遊び相手として兄弟のように可愛がられ、一字拝領して秀宗と名乗るようになりました。『信長の野望』では家臣に与えられる褒賞の中でもトップクラスに効果の大きな一字拝領で忠誠度100です。

 秀吉が亡くなった後は家康公のもとに人質として送られ、江戸で厳しくつつましい生活を送りつつ育ち、19歳の時には井伊直政の娘・亀姫と結婚します。この頃には正妻愛姫との間に嫡子が生まれており、こちらが現天下人秀忠から一字拝領して忠宗と名乗り藩を継ぐことになりました。



 少々立場が微妙になって来た秀宗ですが、それにもめげず大坂冬の陣では父子で出陣。独眼竜の子ここにありとアピールすることに成功しました。ちなみに(時代的なこともありますが)政宗公の子らで唯一、共に戦ったことにあるのが秀宗です。秀宗二十四歳の時のことでした。そしてこの功績をもって政宗公が「秀宗に領地を与えてほしい」と猛アピール。大名格・宇和島伊達家十万石としてデビューしたのです。

 ここで強調したいのは「宇和島藩は仙台藩の飛び地ではない」ということです。宇和島藩祖が仙台藩祖の子どもというのは事実ですが、直接大名から知行を与えられたので、仙台藩と宇和島藩は同格対等のポジションなのです。


 若き藩主となった息子を心配し、政宗公は五か条の教訓と軍資金を与えました。プリンス秀宗は「親子のことだからお金は返さなくてもいいだろう」と思っていたのですが、お目付け役に政宗公からつけられた家臣の山谷清兵衛は「返すべきです」と主張。そのために金策には苦労するし、自分の行動をいちいち政宗公に告げ口してアレコレ言われるし……と、秀宗にとっては非常にうっとうしい存在になってきました。

 そしてとうとう秀宗は山谷清兵衛を一族郎党皆殺し(処断)し、さらに報告を怠ったため、政宗公は激怒。「親子の縁を切る」「とても十万石の領地を治められる器じゃないので、幕府に返納する」との話に発展。宇和島藩はわずか5年目で存亡の危機に立たされたのでした。

 どうやらこの時に政宗公からの苛烈な訴えを聞き、親子をとりなしたのが老中・土井利勝だったようです。どうもこの人は中間管理職の鑑みたいな方だったみたいで、他にも一触即発の人間関係をとりなした伝説があるのですが、ここでもその手腕を発揮。江戸で険悪度100になった親子を対面させ話し合いをさせます。

 

 ここで今までずっと話せなかった自分の微妙で複雑な感情を告白。親の心子知らずなんて言葉がありますが、その逆バージョンですね。これにいたく衝撃を受けた政宗公は、これ以降藩政に口出しをしないと約束をしました。そしてその代わりに和歌を交換したり茶器を譲り受けたりと良好な親子関係が続きました。また秀宗公も善政を敷き、明治維新まで250年以上にわたる宇和島藩の基礎を確立したのです。地元では8代目の宗城さん(幕末四賢候のひとり)が有名すぎて藩祖は存在感が薄いらしいですが、私は今回のパネル展で秀宗公と宇和島が大好きになりました。

 四国はちょっと遠いから、実際に行くことはかなわないかもしれませんが、今度またフェアなどやる時があれば、もっと積極的に楽しんでいきたいなと思います。姉妹都市だから、これからも何度もあると思いますけどね。



 良いと思います!
宇和島伊達物語
―おわり―

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