先日、「私はギャンブラーにはなれない」という話をしましたが、改めてそのことを少々書きます。
たとい勝てばお金(など)が儲かるとはいえ、コツコツ働いて得たお金が2分とか3分で消えてなくなるかもしれないプレッシャーには耐えられない……というのが、先日書いた言葉。
それは言い換えれば、私がどちらかというと堅実志向な性格ゆえということかもしれません。一攫千金にロマンを求め、それで破滅するのもまた良し……という生き方が、どうしても出来ない気がするのです。ドサ健あたりから軽蔑されるような、堅気でやっていきたいタイプなんです。
そういうことを踏まえると、この小池重明という人は、絶対に友人にはなりたくないタイプです。
将棋の腕はプロ棋士を負かすほどのレベルでありながら、それ以外は何をやってもダメ。職を転々とし、借金は増え続け、お世話になった人が経営する店の金庫から金を奪い逃亡することも数度(その場に借用証を残していくので『盗んだわけではない』とは本人の弁)。最期は不摂生から血を吐いて死んでいったような人です。まったくもって破滅的な人生です。
まだ人生経験の浅い10代の頃ならともかく、30代になった今では、まったくもって関わり合いになりたくない人間です。
でも、そういった理屈では割り切れない『何か』を感じさせるのも事実です。それはやはり、人間としては破綻者だけれど、将棋の腕だけは……という一芸があったからなのかな、と思います。
私が『面白いな』と思ったエピソードをひとつ。
小池氏が団鬼六先生に、「先生と将棋を打ちたがっている人がいる」と紹介したことがあったのですが、実際に会ってみても一向に将棋が始まらない。どうしたことかと思いつつ床につき、夜中にトイレに立った時、ふと別室で将棋を打っている小池氏を見つけました。ところがその様子があまりにも真剣で「オレには将棋を指させないくせに、自分だけ何をやってんだ」と問い詰めることもせず、さっさと用を足して再び寝入ってしまった団先生。
朝になると、目の前に札束を積み上げた小池氏。実は自分が真剣勝負(賭け将棋)をする際に、ちゃんと負けた時の支払いを保証してくれるスポンサーがいますよ、ということを相手に見せるために団先生をダマしてつれてきた……ということだったんです。それでいて律儀に分け前を渡すあたりが、ヘンなところでまじめな小池氏の性格を現したエピソードだな、と思いました。
強くなれば強くなるほど真剣勝負を受けてくれる相手がいなくなり、食い詰めていく――麻雀放浪記でも読んだ、裏プロとしての悲哀が、そこにもありました。そういった生き方を自分はすることが出来ないし、だれもすることはできないでしょう。
でも、そういう人がかつてこの世にいたのだな……という、戦国武将の話を読むにも似た気持ちで本を閉じたのでした。
たとい勝てばお金(など)が儲かるとはいえ、コツコツ働いて得たお金が2分とか3分で消えてなくなるかもしれないプレッシャーには耐えられない……というのが、先日書いた言葉。
それは言い換えれば、私がどちらかというと堅実志向な性格ゆえということかもしれません。一攫千金にロマンを求め、それで破滅するのもまた良し……という生き方が、どうしても出来ない気がするのです。ドサ健あたりから軽蔑されるような、堅気でやっていきたいタイプなんです。
そういうことを踏まえると、この小池重明という人は、絶対に友人にはなりたくないタイプです。
将棋の腕はプロ棋士を負かすほどのレベルでありながら、それ以外は何をやってもダメ。職を転々とし、借金は増え続け、お世話になった人が経営する店の金庫から金を奪い逃亡することも数度(その場に借用証を残していくので『盗んだわけではない』とは本人の弁)。最期は不摂生から血を吐いて死んでいったような人です。まったくもって破滅的な人生です。
まだ人生経験の浅い10代の頃ならともかく、30代になった今では、まったくもって関わり合いになりたくない人間です。
でも、そういった理屈では割り切れない『何か』を感じさせるのも事実です。それはやはり、人間としては破綻者だけれど、将棋の腕だけは……という一芸があったからなのかな、と思います。
私が『面白いな』と思ったエピソードをひとつ。
小池氏が団鬼六先生に、「先生と将棋を打ちたがっている人がいる」と紹介したことがあったのですが、実際に会ってみても一向に将棋が始まらない。どうしたことかと思いつつ床につき、夜中にトイレに立った時、ふと別室で将棋を打っている小池氏を見つけました。ところがその様子があまりにも真剣で「オレには将棋を指させないくせに、自分だけ何をやってんだ」と問い詰めることもせず、さっさと用を足して再び寝入ってしまった団先生。
朝になると、目の前に札束を積み上げた小池氏。実は自分が真剣勝負(賭け将棋)をする際に、ちゃんと負けた時の支払いを保証してくれるスポンサーがいますよ、ということを相手に見せるために団先生をダマしてつれてきた……ということだったんです。それでいて律儀に分け前を渡すあたりが、ヘンなところでまじめな小池氏の性格を現したエピソードだな、と思いました。
強くなれば強くなるほど真剣勝負を受けてくれる相手がいなくなり、食い詰めていく――麻雀放浪記でも読んだ、裏プロとしての悲哀が、そこにもありました。そういった生き方を自分はすることが出来ないし、だれもすることはできないでしょう。
でも、そういう人がかつてこの世にいたのだな……という、戦国武将の話を読むにも似た気持ちで本を閉じたのでした。
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