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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
実はこれ、101冊目です。本当は100冊目に読んだ本のことを書くべきなんでしょうが、そのタイミングで『ダ・ヴィンチ』についての記事を書き、さらにこの101冊目を読み終えたところ、その物語の内容がすさまじく……なので順番をたがえても、この本のことについて書きたいと思います。

 なお、本作はフィクションであり、地名とかは実際にありますが、組織・人物などは架空のものです。ですが、これは『本の感想』なので、そのあたりは無視して思い入れたっぷりに書きます。なので実際の私自身の思想と異なる部分もあることを、おことわりしておきます。あと、あらすじについても結構、書いています。





 表向きは会社の社長、しかしその実態は岩手最大・最古の暴力団の二次団体の組長である黒沢裕次郎。彼はかつて将来を嘱望されたスイマーだったものの、とある事件を起こしたことで表舞台から姿を消した過去があった。しかしながら、そんな彼が親友からの依頼により、スイミングクラブ同士の対抗戦に助っ人として出ることになる……と、まあ導入はそんな感じです。

 年齢は28歳で、きわめてハンサムで、表向きは会社の社長。しかも自宅にはトレーニング室もあり、常に身体を鍛えることに余念がない……となると、さしずめ『龍が如く3』の峯義孝のようなものでしょうか。もっとも性格はちょっと古風なところがある昔かたぎのヤクザで、義理人情に厚く堅気に迷惑をかけないことを信条にする熱血漢です。だからどちらかというと桐生さんの方に近いのかもしれません。

 実際、水泳だけでなく腕っ節もかなりのもので、堅気には手を出しませんが同業者、特に悪辣な手段で岩手を食い物にしようとする連中には一切容赦しません。そして物語の後半では、もっと過激な連中を相手に腕を振るうことになります。そのあたりも含めて桐生さんですね。
 
 『パラサイト・イブ』を読んだ時もそうだったんですが、中盤あたりから物語の勢いが急加速します。話がどんどん大きくなって、それにひるむことなく裕次郎もがんばるので、クライマックスでは日本中を巻き込んで? の大立ち回りとなります。このあたりはもはや娯楽100パーセント、ひたすら面白おかしくそして熱い雰囲気のまま駆け抜けエピローグへと突入します。


 私は堅気の人間なので、暴力団構成員の黒沢裕次郎を……表立って支持することはできません。ただ最近は堅気の人間の方がよほどタチが悪いんじゃないのか? と思うこともあります。少なくとも裕次郎は堅気を食い物にするような人物ではなく、むしろフロント企業の方で堅気の人たちを食わせるようなことをしています。困っている人や弱っている人がいたら(多少荒っぽいながらも)手を貸します。もちろん水泳で人助けもします。終盤には昭和残侠伝(ただし装備は日本刀+マカロフ拳銃)のような格好で悪党どもに挑みます。

 結局、職業とか見た目とかじゃなく、『何をするか』っていうことなんでしょうね。命をかけて誰かを守る。その行為には誰もが感動するはずです。そして、もちろん暴力団員になろうとは思わないまでも、人として男としてどう生きるべきか? そういうことを考えさせられるのです。

 ……な~んてマジメに考えている私を尻目に、裕さんはいつものようにマイペースで振舞っていることでしょうが。

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 表向きは会社の社長、しかしその実態は岩手最大・最古の暴力団の二次団体の組長である黒沢裕次郎。彼はかつて将来を嘱望されたスイマーだったものの、とある事件を起こしたことで表舞台から姿を消した過去があった。しかしながら、そんな彼が親友からの依頼により、スイミングクラブ同士の対抗戦に助っ人として出ることになる……と、まあ導入はそんな感じです。

 年齢は28歳で、きわめてハンサムで、表向きは会社の社長。しかも自宅にはトレーニング室もあり、常に身体を鍛えることに余念がない……となると、さしずめ『龍が如く3』の峯義孝のようなものでしょうか。もっとも性格はちょっと古風なところがある昔かたぎのヤクザで、義理人情に厚く堅気に迷惑をかけないことを信条にする熱血漢です。だからどちらかというと桐生さんの方に近いのかもしれません。

 実際、水泳だけでなく腕っ節もかなりのもので、堅気には手を出しませんが同業者、特に悪辣な手段で岩手を食い物にしようとする連中には一切容赦しません。そして物語の後半では、もっと過激な連中を相手に腕を振るうことになります。そのあたりも含めて桐生さんですね。
 
 『パラサイト・イブ』を読んだ時もそうだったんですが、中盤あたりから物語の勢いが急加速します。話がどんどん大きくなって、それにひるむことなく裕次郎もがんばるので、クライマックスでは日本中を巻き込んで? の大立ち回りとなります。このあたりはもはや娯楽100パーセント、ひたすら面白おかしくそして熱い雰囲気のまま駆け抜けエピローグへと突入します。


 私は堅気の人間なので、暴力団構成員の黒沢裕次郎を……表立って支持することはできません。ただ最近は堅気の人間の方がよほどタチが悪いんじゃないのか? と思うこともあります。少なくとも裕次郎は堅気を食い物にするような人物ではなく、むしろフロント企業の方で堅気の人たちを食わせるようなことをしています。困っている人や弱っている人がいたら(多少荒っぽいながらも)手を貸します。もちろん水泳で人助けもします。終盤には昭和残侠伝(ただし装備は日本刀+マカロフ拳銃)のような格好で悪党どもに挑みます。

 結局、職業とか見た目とかじゃなく、『何をするか』っていうことなんでしょうね。命をかけて誰かを守る。その行為には誰もが感動するはずです。そして、もちろん暴力団員になろうとは思わないまでも、人として男としてどう生きるべきか? そういうことを考えさせられるのです。

 ……な~んてマジメに考えている私を尻目に、裕さんはいつものようにマイペースで振舞っていることでしょうが。

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