忍者ブログ
大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 同じような意味合い、同じようなものを指す言葉でも、ちょっと言い方を変えるだけで印象が変わってくるものですが、それゆえどっちの言葉を使おうか、色々考えることもあります。

 で、そういったことばかり色々考えているうちに、別に誰かに伝えたいわけでもなく、ただ何気ない瞬間にひとつの言葉をつかまえて、それを手の中で転がしたり、分解したりして、いじりまわすことがある犬神です。

 それがどうして納涼特集なのかと言うと、今回取り上げたい言葉が、『妖怪』と『おばけ』だったからです。


 澁澤龍彦の『黄金時代』の中では、「妖怪とかおばけとか……」という感じで、エッセーの序盤で本当にさらりと触れられていただけなのですが、それがなぜか妙に私の心に反応して。

 もっと言えば、「おばけ」という言葉に、妙なほど愛着と言うか、いとおしい感情を覚えたのでした。


 『おばけ』

 という言葉から連想されるイメージは、Q太郎もそうですし、あとはせなけいこの『ねないこだれだ』のような、すごく薄ぼんやりしたイメージが浮かびます。それはつかんでも実体がなさそうな、怖い夢のように不安な感じがして、でもどこか可愛らしさも感じて……。

 要するに、子どもの頃にイメージした「こわいもの」のイメージなんですよね。

 対して、

 『妖怪』

 というと、これは水木しげる先生の漫画を例に出すまでもなく、あんな感じのイメージがあります。確かに私たち人間とは見た目も性格もたぶん食生活とかも違いますが、少なくともはっきりとした実体があるように思います。でもって水木先生とか荒俣先生とかによって、その詳しいプロファイリング情報(?)も明らかになっているので、怖さにしても『理解できる』ものとなるでしょう。


 別にどっちがどっちっていうわけではありません。あるいはこれよりもっと明確に別なものを指す言葉なのかもしれません。

 ただ、29歳になってからは、『おばけ』という言葉を使うのには少々、抵抗があります。やはり、言葉の響きもそうですが、ちょっと可愛らしすぎる印象があるからです。

 あとは……

 「うしろにおばけがいるぞうっ」

 と言うシーンを思い出すからかな。

 ……これは『ドラえもんが帰ってきた』という(エイプリルフールの)嘘をつかれたのび太がそのおかえしにジャイアンとスネ夫についた嘘なのですが、泣きながら一生懸命にやっている姿が非常につらいんですよね。

 このあとドラえもんが遺して残していった最強のひみつ道具で復讐を遂げること、そして最高のハッピーエンドが訪れることは無論わかっているのですが、それでもこの瞬間の、絶望的なまでの抵抗が本当に……私までもが泣きそうになってしまって……嫌なのです。


 おっと、ドラえもんの話は置いといて。

 もちろん、文章の流れとしてその方が都合がよければ、いいとは思いますが、出来るだけ別な言葉で置き換えられるのなら、そうしたい。少なくとも声に出して言うのは、出来るだけ出来るだけ、しないようにしたい。そう思います。

拍手[0回]

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック