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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 金澤克彦「子殺し」を読み終わりました。……すごく面白かったのです。これは本当にすごい。インターネット掲示板(匿名のやつ)とか別冊宝島とかで垂れ流されている下衆な言葉がどれほど積み重なったって、このノンフィクションにはかないますまい。これは買って読まなければならないでしょう。

 
 考えてみれば犬神がプロレスに興味を持ったのは、その突飛な言動。レスラーたちの激しいぶつかり合いやすさまじい練習に裏打ちされた肉体ではなく、常軌を逸しているとしか思えない発言の数々を嘲笑したくて、それで色々と情報を調べていったのでした。

 その時点ですでにプロレスラーはことごとく総合格闘技の試合で惨敗。……全部が全部と言うわけではないにしても、最初に負けたことしか覚えていませんでした。そして「プロレスラーは弱い」「真剣勝負では勝てない」と。これは、プロレスにそれほど興味のない人のすべての意見ではないでしょうか。

 それが『餓狼伝』を読んで、「プロレスラーは決して弱くないのでは」と思うようになって。いつのまにか本気でプロレスが好きになり、プロレスを応援するようになって。そして今回の『子殺し』……。


 今までネット上の風聞とここ最近の言動だけで作っていたレスラーたちのイメージが、次々と破壊されるのは、ある意味ではとても心地いいものでした。それというのは口汚い、しかも根拠の怪しい噂話ではなく、確かな取材と確かな文章によってつづられたノンフィクションのドラマだからでしょう。

 結局、違った切り口からプロレスを深く楽しんでいるつもりだった犬神、どれほど浅いファンだったかを痛感させられました。そこにはリング上と同等かそれ以上に真剣な戦いをする男たちばかりだったのです。しかも相手は『神』アントニオ猪木……。

 これだからプロレスは、本っ当に面白い。……ただ、最近アントニオ猪木の名前を持ち出す男がチャンピオンになったのが気になるところです。これからどうするんだ一体。

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