はい、じゃあ、続きを。
直前まで悪の組織からの妨害を受けながらも無理やり気味に飛び立ったロケットに乗って、黒豹は月を目指して飛びます。
その間も地球上では、重要人物が暗殺されたりなんだりと、別行動を取っている秘書の高浜沙霧の活躍はあるのですが、宇宙空間におけるかつてないほどの激闘の前ではかすんでしまいます。
まず、最初に襲ってくるのは謎のICBMですが、黒豹は宇宙服にベレッタを持ち、宇宙空間に飛び出してドンドンドンッと9ミリ弾を発射します。もちろんただの9ミリ弾ではなく、防衛庁の秘密最新技術によって作られた秒速30キロで飛んでいく特殊徹甲弾なので、アッサリ撃破してしまいます。『ポリスノーツ』では反動で吹っ飛ばされていましたが、たぶんそこも防衛庁の秘密最新技術でリフトガンに改造されているのでしょう。あとはもう、私たちの知っているものとは別な物理法則が働いている世界なのだと思うしかありません。
しかしながら、黒豹の激闘はまた続きます。今度は未確認飛行物体が宇宙船を襲います。
この宇宙船は「シャッ」と音を立てて、紫色の、なぜか見てからかわせるレーザーを発射してきました。真空中なのに? 大丈夫です、そのあたりは門田先生自身が地の文で突っ込みを入れていますから。そして光線でも熱線でもいいんですが、それを見てからかわしたニュータイプ・黒豹はまたもや拳銃を発射、これを撃墜してしまいます。
もっとも、このあと不用意に船外に飛び出した愛知はそんな能力もないのであっさり熱線で殺害されてしまいます(章タイトルはそのものズバリ「愛知卓三暗黒界に死す」です)。今にして思えばわざわざ愛知が船外に行く理由はなく、黒木と博士を生還させるために殺させた、という門田先生の思惑が見え隠れするような気もしますが、まあこの際それは置いといて、と。
月には地球中から連れてこられた科学者たちがいましたが、コーネフ博士だけにしか興味のない黒豹は、博士の居場所を聞いたらあとは「じっとしていろ」と言い、あからさまに彼らを見捨てて救出します。そして月の先住民族(!)と戦っている悪の組織の構成員を次々と射殺した後、月から脱出しようとします。
ところがここでまた問題が発生します。この月着陸船は1人乗りなので、どちらかが月に残らなければならない。そうなると、もちろん黒木は自分が残るというのですが、そうかといってコーネフ博士もいきなり月着陸船を操作して司令船とドッキングせよ、なんて無理な話。当然ながらそれを渋るのですが、
黒木は、
「泣き言を行っている場合ではありません」
といって強引に説得? を試みます。
泣き言とか甘っちょろいこととかではなくて、当然の主張だと思うのですが、ICBMにもUFOにも勝てる「世界最強の男」にこんな風にすごまれてはいたし方ありますまい。
しかしながら、博士が「自転車にも乗れない」というと、なぜか急に黒木は態度を軟化させ、「仕方がない」といって、結局2人で月から脱出します。……黒木の中では「自転車に乗れれば、月着陸船も操作できる」という公式でもあるのでしょうか。というか、定員1名のところに2名乗るリスクよりも、素人のコーネフ博士に操作させるリスクの方が大きい気がするのですが……。
まあ、とにかく。
その後は大小さまざまなトラブルに遭いながらも、何とか黒木は北海道沖に着水しますが、その影には未確認飛行物体のサポートがありました(プラターズの「オンリー・ユー」を無線に流して来る、など)。信頼できるのは黒木だけだ、だから「オンリー・ユー」をメッセージとして送ったのだ、と地の文では語っていますが、それでプラターズ?……よくわかりませんが、とにかくそんな感じで怒涛のアマゾン激闘編へと突入します。
たぶん、SF的なトンデモなさが一番凝縮されているのが、この中編なのだろうと思います。文中ではいつもの口調で「実は宇宙人は地球に来ていた」とか何とかと語られていて、中には信じてしまう人もいるんじゃなかろうかと危惧してしまいます。
それでなくても、流星が火の粉を撒き散らしながら宇宙空間を飛んだり、ドンドンドンッと拳銃を撃ったり、私のようなド素人でも「ん?」と思うような要素が満載。ストーリィよりもそのトンデモなさを味わいたいのであれば、この中編からいきなり読んでみるのも一興かもしれません。
では最後に、この中編全体を象徴するような愛知卓三の言葉を。
「凄いですねぇ、宇宙は」
……凄い……ですねぇ、本当に……。
直前まで悪の組織からの妨害を受けながらも無理やり気味に飛び立ったロケットに乗って、黒豹は月を目指して飛びます。
その間も地球上では、重要人物が暗殺されたりなんだりと、別行動を取っている秘書の高浜沙霧の活躍はあるのですが、宇宙空間におけるかつてないほどの激闘の前ではかすんでしまいます。
まず、最初に襲ってくるのは謎のICBMですが、黒豹は宇宙服にベレッタを持ち、宇宙空間に飛び出してドンドンドンッと9ミリ弾を発射します。もちろんただの9ミリ弾ではなく、防衛庁の秘密最新技術によって作られた秒速30キロで飛んでいく特殊徹甲弾なので、アッサリ撃破してしまいます。『ポリスノーツ』では反動で吹っ飛ばされていましたが、たぶんそこも防衛庁の秘密最新技術でリフトガンに改造されているのでしょう。あとはもう、私たちの知っているものとは別な物理法則が働いている世界なのだと思うしかありません。
しかしながら、黒豹の激闘はまた続きます。今度は未確認飛行物体が宇宙船を襲います。
この宇宙船は「シャッ」と音を立てて、紫色の、なぜか見てからかわせるレーザーを発射してきました。真空中なのに? 大丈夫です、そのあたりは門田先生自身が地の文で突っ込みを入れていますから。そして光線でも熱線でもいいんですが、それを見てからかわしたニュータイプ・黒豹はまたもや拳銃を発射、これを撃墜してしまいます。
もっとも、このあと不用意に船外に飛び出した愛知はそんな能力もないのであっさり熱線で殺害されてしまいます(章タイトルはそのものズバリ「愛知卓三暗黒界に死す」です)。今にして思えばわざわざ愛知が船外に行く理由はなく、黒木と博士を生還させるために殺させた、という門田先生の思惑が見え隠れするような気もしますが、まあこの際それは置いといて、と。
月には地球中から連れてこられた科学者たちがいましたが、コーネフ博士だけにしか興味のない黒豹は、博士の居場所を聞いたらあとは「じっとしていろ」と言い、あからさまに彼らを見捨てて救出します。そして月の先住民族(!)と戦っている悪の組織の構成員を次々と射殺した後、月から脱出しようとします。
ところがここでまた問題が発生します。この月着陸船は1人乗りなので、どちらかが月に残らなければならない。そうなると、もちろん黒木は自分が残るというのですが、そうかといってコーネフ博士もいきなり月着陸船を操作して司令船とドッキングせよ、なんて無理な話。当然ながらそれを渋るのですが、
黒木は、
「泣き言を行っている場合ではありません」
といって強引に説得? を試みます。
泣き言とか甘っちょろいこととかではなくて、当然の主張だと思うのですが、ICBMにもUFOにも勝てる「世界最強の男」にこんな風にすごまれてはいたし方ありますまい。
しかしながら、博士が「自転車にも乗れない」というと、なぜか急に黒木は態度を軟化させ、「仕方がない」といって、結局2人で月から脱出します。……黒木の中では「自転車に乗れれば、月着陸船も操作できる」という公式でもあるのでしょうか。というか、定員1名のところに2名乗るリスクよりも、素人のコーネフ博士に操作させるリスクの方が大きい気がするのですが……。
まあ、とにかく。
その後は大小さまざまなトラブルに遭いながらも、何とか黒木は北海道沖に着水しますが、その影には未確認飛行物体のサポートがありました(プラターズの「オンリー・ユー」を無線に流して来る、など)。信頼できるのは黒木だけだ、だから「オンリー・ユー」をメッセージとして送ったのだ、と地の文では語っていますが、それでプラターズ?……よくわかりませんが、とにかくそんな感じで怒涛のアマゾン激闘編へと突入します。
たぶん、SF的なトンデモなさが一番凝縮されているのが、この中編なのだろうと思います。文中ではいつもの口調で「実は宇宙人は地球に来ていた」とか何とかと語られていて、中には信じてしまう人もいるんじゃなかろうかと危惧してしまいます。
それでなくても、流星が火の粉を撒き散らしながら宇宙空間を飛んだり、ドンドンドンッと拳銃を撃ったり、私のようなド素人でも「ん?」と思うような要素が満載。ストーリィよりもそのトンデモなさを味わいたいのであれば、この中編からいきなり読んでみるのも一興かもしれません。
では最後に、この中編全体を象徴するような愛知卓三の言葉を。
「凄いですねぇ、宇宙は」
……凄い……ですねぇ、本当に……。
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