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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 中公文庫「ジャンヌ・ダルク」を読みました。藤本ひとみ版ではなくて。

 長いことジャンヌ・ダルクというと「ワールドヒーローズ」のそれしか知らず、まあ、それはそれでよかったのですが、そのあとミラ・ジョヴォヴィッチがやっていたりして、イメージがあやふやになっていたのですね。

 映画とかは作り手の「こう見せたい気持ち」が強く出るので(実際リュック・ベッソンの意図がありありと出ているそうですが)ニュートラルな、できるだけリアルなものを知りたい。そういう気持ちでいたところたまたま古本屋でそれっぽい本を見つけ、「大空のサムライ」「アントニオ猪木 闘魂30選」といった書籍ともども買い求めました。


 百姓の娘が天からの「声」を受けて地元の偉い人を説得し、兵士たちを奮い立たせて扇動し、イギリス軍を追い払った。これは歴史の示すところであります。あとはカトリックでは禁忌とされる男装、つまり甲冑を身につけて馬に乗って先陣を切った。これもその通りであったようです。美人だったか? というのはあいにくと証言が少ないのでさておき、平時は歌や踊りを好む普通の女の子だったようです。

 この時点でクリスタナ・ローケンにも似た殺人マシン的なイメージのあるミラ・ジョヴォヴィッチは違う、ということになります。いや、「バイオハザード」の三角蹴りとかは素直にぶったまげたし魅了されたので、この人のアクションは大好きなんですが。

 
 騎士も諸侯も最初は「アホか」と相手にしなかったのですが、とにかく場面が次々と彼女の言う通りになるものだから、みんなついていきます。それに加えて彼女自身の魅力というのも少なからずあったみたいですが、それは単純な美しさではなく「神々しさ」であり、最初は襲ってやろうと思ってついていった従者も、そのカリスマ性に触れてそんな気持ちも雲散霧消してしまった、と証言したそうです。


 とはいえ彼女はあまりにも急進的であったために、保守的な諸侯たちの罠にハメられて捕まりました。これはその通りです。最初に釈放した時に署名した誓約書の内容に違反したので、ということではあったのですが、これが文盲(原文ママ)であった彼女に付け込んだサギ同然の手口でありました。

 その後は世の中によく知られた通りです。一応、死後しばらくたってから復権裁判が行われ、いわゆる「聖女」として列することにはなったのですが、自分たちで殺しておいて何が名誉だ、といったことを最後に著者は語っています。

 何分にも西洋史は苦手で、ジョンだのリチャードだのと言われてもいまいちピンと来ず、4割ぐらいはとりこぼしてしまった感があるのですが、ともかくそういうものだったようです。


 そうそう。神の声を聞いた、と主張する割には合理主義的な部分もあったようです。

 ジャンヌを快く思わない人々が、同じような女性を持ち上げてきたことがありました。彼女の言うには夜に聖母マリアの姿を見た、声を聞いたと言うことで、ジャンヌがそれを確かめてやろうと言うことになり、一緒に待っていました。待ちくたびれて先に眠ってしまって、翌朝聞いてみると「あなたが寝てる間に出たわよ」と彼女は言いました。

 そうしたら今度は昼間に寝て、夜中じゅう「いつ出るの? いつ出るの?」と聞いて待ち続けたそうですが、ついに出てこなかったと言います。

 神の声が本当に聞こえたのかどうか。それはわかりませんが、ともかく人をひきつけるカリスマと物事をきちんと考えられる合理性を併せ持った女性であった、と素直に「すごい」と思った、というのが素人な私の感想です。


 「ワールドヒーローズ」のジャンヌは……うーん……アレはアレで好きです。

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