先日『樅ノ木は残った』を読了しましたが、そのなかに登場する「伊東七十郎」というひとは小説や大河ドラマになる以前から「正義を貫こうとして最期まで立派に生き抜いた人」……すなわち『烈士』として尊敬されていたようです。仙台市内にもお墓や碑文がありますし、柴田町の船岡城址には大河ドラマに感動した東京の人が建てた句碑がありますし、石巻市には伊東七十郎を祀った神社もあるそうです(ここはまだ行ったことがない)。
この縛り地蔵は伊東七十郎が処断された米ケ袋刑場にあります。これでもかと言わんばかりに荒縄で縛られたお地蔵様は、知らない人が見れば「エッ!?」と思うことでしょう。私もそうでした。これはお参りに来た人が願いを込めて縄で縛る風習によるものだそうです。それだけ人々の思いを一心に体現しているというふうに解釈しました。
『樅ノ木は残った』では処断された後、遺骸は野ざらしにされていた……と書いていました。四代藩主綱村公によって一家の再興は認められたものの、その遺骸は20世紀になってから見つかったということですから、山本周五郎もそのあたりの話を踏まえて小説を書いたのでしょうね。とか何とかって歴史ロマンを抱きながら川沿いの公園を散歩していると……
……
うま……ウマ……
馬……!?
そう、馬がいたのです。特に何かにつながれるわけでもなく、馬が自由気ままに河原の草を食んでいるところに遭遇したのです。
「ついにアーバンベアならぬアーバンホースが現れたか!」
と狼狽してしまいました。
勿論、野生の馬ではありません。ちょっと遠慮しながら何枚か写真を撮っていると、飼い主の方がいらっしゃったので、お話を伺うことができました。どうやらこの近くに住んでいらっしゃる方で、この辺りは「庭のようなもの」なので、よく散歩がてら草を食ませているということでした。ポニーの「ポーちゃん」というお名前だそうです。
何枚か写真を撮ったのですが、何となく目を細めて気持ちよさそうにしている(様に見えないこともない)これをチョイスしました。束の間、可愛らしいポーちゃんの姿に癒され、また実際に飼い主の方とお話をする縁に恵まれました。
さらにその飼い主の方から、
「今月の『りらく』に、ポーちゃんのイラストが載ってますよ~」
と教えていただいたので、帰りに五橋の「塩川書店」に寄って雑誌を買い求めました。
この塩川書店は東日本大震災の直後、とあるお客さんが県外で買った週刊少年ジャンプを譲り受け、「ジャンプ読めます」という張り紙を出した……という逸話があります。震災の3日後に店は再開したものの流通がとまり最新のコミック誌などが届かない状況にあって、地域の子どもたちは待ち望んだ雑誌を回し読みした……と2012年4月23日の朝日新聞では報じています。後に手塚治虫文化賞の『特別賞』も受賞しており、その時の賞状が店内に飾られています。
丸善でもアマゾンでもコンビニでも買える本ですが、それをこの書店で買う。それは私もまた、この書店に対する気持ちがあるからです。どの本を買うかじゃなくて、「どこで本を買うか」そういうことにこだわってみたいのです。これは最近のことじゃなくて、ずっと昔からそうです。
これはひとつのストーリィであると私は考えます。
「縛り地蔵を見てみたい」
そう思ったのは私の気紛れですが、実際に見に行った先でポーちゃんに出会う。その飼い主に出会う。そうしたところ、たまたま最新の「りらく」にイラストが載っている話を聞き、ちょうど歩いて帰る途中に本屋さんがあったから買い求める。すべて自然な流れです。その流れに身を任せて物語を読み進めるがごとく繋いでいく。全く面白い一日でした。
これほどまでに物語的な時間を過ごせたことが嬉しかったので、しっかり日記に書き残しておきます。今日(13日)は雨降りでどこかに出かけるという感じでもないので、とりあえすしっかり記事を書いた後で、細かくX(旧Twitter)でも発信していきます。
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