『怒りは敵、堪忍は武運長久』という言葉を残した(ことになっている)大御所自身が、実は結構、短気な人物だった……というのは一般に知られるところです。ホトトギスが鳴くまで待っているかもしれませんが、待っている間もずっと色々な準備を怠らないし、家臣に手抜かりがあったらその下で容赦なく怒鳴り散らすような人だったのです。
といって、これを「言ってることが違うじゃん」つってコケにするつもりはありません。多分それは自戒の意味も込めて言ってるんだと思います。わしが短気でさんざんひどい目に遭ってきたんだから、お前らも気をつけなくちゃいけないよ、と。
そういうわけで、毎日、短気を戒めるよう努力しています。
『徳川家康』全26巻のうち、25巻も、もうすぐ終わろうとしています。
メインになる場面はもちろん大坂の役。冬の陣で濠を埋められ、籠城は不可能な状態にされてしまった大坂方。ならば打って出るしかない! というわけで後藤又兵衛、真田幸村といった猛将が大暴れします。無論関東方も名だたる名将がそろっているのですが、「この戦いで死ぬ」と決めてかかる人々と「死にたくないけど一応戦う」人々では士気が全然違います。ましてや自身の武力だけではなく指揮官としても当代随一のセンスを持った人ですからね。
「この世から戦のなくなることなどない。大御所、将軍家の命をもってそれを証明することが、自分を評価してくれた大御所への恩返しだ」
などという非常に物騒な信念を胸に戦うものですから、大御所・将軍家ともども討ち死にの危機に瀕しました。
特に将軍家は護衛部隊が別な戦場に行ってしまい、すぐそこまで敵が迫る大ピンチ状態に。戦国無双なら「本陣苦戦! 至急来援せよ!」とワーニングが出ています。
しかしながら、将軍家の側には柳生又右衛門宗矩がいました。襲いくる敵をその太刀筋で切り捨て、無事に自分も将軍家も逃げおおせたのですが、『活人剣』をモットーとする宗矩は(やむをえない状況だったとはいえ)それを恥とし、自ら語ることはなかったといいます。
それでも、ちょっとした「はずみ」で計算が狂うのが戦というもの。いくつもの「もし、こうなっていたら」を残しつつ、後藤・真田ともども壮絶に討ち死にしました。
この時点で大坂方はほぼ壊滅状態。家臣も次々と討ち死にまたは自害して果てます。そして淀の方&秀頼母子も籾蔵の中で御自害。すべてが終わってしまったのです。
このあたりの話は、たぶん山岡荘八先生の創作であろうとは思うのですが、非常に悲しい気持ちになりました。大御所はあくまでも秀頼母子を助命しようとしていたのですが、その気持ちは身内でさえ理解できていませんでした。将軍家しかり、その将軍家に近い世代しかり。
千姫だけは何とか助かったものの、秀頼母子を初めとする女たちが軒並み自害して果ててしまう……男たちはともかく、女子供がこうして死んでいく場面は、本当に胸が苦しくなります。一方でその引き金になった連中は、「大御所はそういうけれど、豊臣家は敵なんだし」「オレたちは勝ち組でアイツらは負け組。何でそんな連中に気を遣わなきゃいけないんスか」と言って胸を張っているものだから、なんだか腹も立ってきます。
だからといって私情をぶちまけては将軍家の権威失墜や身内の不和、瓦解にもつながります。そこでグッとこらえ、ひとり静かに涙を流す……。まったくもって、リーダーというのはつらいものです。
そんなわけで、最後に消しがたい汚点が残ってしまったものの、もうすぐ最終巻。今度こそ泰平の世はゆるぎないものとして、安心してこの世を去ることが出来るのかな……と思っていたら、最後の最後に波乱が起こりそうです。
そう、東北の龍・伊達政宗です。
といって、これを「言ってることが違うじゃん」つってコケにするつもりはありません。多分それは自戒の意味も込めて言ってるんだと思います。わしが短気でさんざんひどい目に遭ってきたんだから、お前らも気をつけなくちゃいけないよ、と。
そういうわけで、毎日、短気を戒めるよう努力しています。
『徳川家康』全26巻のうち、25巻も、もうすぐ終わろうとしています。
メインになる場面はもちろん大坂の役。冬の陣で濠を埋められ、籠城は不可能な状態にされてしまった大坂方。ならば打って出るしかない! というわけで後藤又兵衛、真田幸村といった猛将が大暴れします。無論関東方も名だたる名将がそろっているのですが、「この戦いで死ぬ」と決めてかかる人々と「死にたくないけど一応戦う」人々では士気が全然違います。ましてや自身の武力だけではなく指揮官としても当代随一のセンスを持った人ですからね。
「この世から戦のなくなることなどない。大御所、将軍家の命をもってそれを証明することが、自分を評価してくれた大御所への恩返しだ」
などという非常に物騒な信念を胸に戦うものですから、大御所・将軍家ともども討ち死にの危機に瀕しました。
特に将軍家は護衛部隊が別な戦場に行ってしまい、すぐそこまで敵が迫る大ピンチ状態に。戦国無双なら「本陣苦戦! 至急来援せよ!」とワーニングが出ています。
しかしながら、将軍家の側には柳生又右衛門宗矩がいました。襲いくる敵をその太刀筋で切り捨て、無事に自分も将軍家も逃げおおせたのですが、『活人剣』をモットーとする宗矩は(やむをえない状況だったとはいえ)それを恥とし、自ら語ることはなかったといいます。
それでも、ちょっとした「はずみ」で計算が狂うのが戦というもの。いくつもの「もし、こうなっていたら」を残しつつ、後藤・真田ともども壮絶に討ち死にしました。
この時点で大坂方はほぼ壊滅状態。家臣も次々と討ち死にまたは自害して果てます。そして淀の方&秀頼母子も籾蔵の中で御自害。すべてが終わってしまったのです。
このあたりの話は、たぶん山岡荘八先生の創作であろうとは思うのですが、非常に悲しい気持ちになりました。大御所はあくまでも秀頼母子を助命しようとしていたのですが、その気持ちは身内でさえ理解できていませんでした。将軍家しかり、その将軍家に近い世代しかり。
千姫だけは何とか助かったものの、秀頼母子を初めとする女たちが軒並み自害して果ててしまう……男たちはともかく、女子供がこうして死んでいく場面は、本当に胸が苦しくなります。一方でその引き金になった連中は、「大御所はそういうけれど、豊臣家は敵なんだし」「オレたちは勝ち組でアイツらは負け組。何でそんな連中に気を遣わなきゃいけないんスか」と言って胸を張っているものだから、なんだか腹も立ってきます。
だからといって私情をぶちまけては将軍家の権威失墜や身内の不和、瓦解にもつながります。そこでグッとこらえ、ひとり静かに涙を流す……。まったくもって、リーダーというのはつらいものです。
そんなわけで、最後に消しがたい汚点が残ってしまったものの、もうすぐ最終巻。今度こそ泰平の世はゆるぎないものとして、安心してこの世を去ることが出来るのかな……と思っていたら、最後の最後に波乱が起こりそうです。
そう、東北の龍・伊達政宗です。
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