この本は毎日jp(まんたんウェブ)の『はじめの一冊』コーナーで紹介されていたのを見て買いました。果たしてどんな文章を読んで買ってしまったのかをハッキリさせたいので、引用したいと思います。
ネットゲームにのめり込み、働かないニートの父に変わって店を切り盛りする小学6年生サトミ。クラスメートの男の子、売れないマンガ家、元気な女子大生ら、少しだけいるなじみのお客さん、いなくなった母の帰る場所を守るため、けなげに頑張り続ける……というほのぼのストーリーだ。(まんたんウェブ編集者)
小さな胸に秘めた恋心も、大人の事情で帰って来れない母も。望めば望んだだけかなってほしい。きっとそう思えるはず。未読の方、ぜひご一読を!(連載誌『コミックフラッパー』の編集部)
サトミのかわいらしさやコミカルなドタバタ劇もあったはずなんですが、気付けばあまりの世知辛さにいたたまれない気分になってしまいました。(中略)でもこれだけ小さな女の子が頑張ってるんだから、ハッピーエンドを拝むまでは読むのをやめるわけにはいかないですよ!(鹿児島・ひょうたん書店の筒口征洋さん)
……そこまで言うなら、受けてたってやろうじゃねえか、とその気にさせられた犬神、何軒かの書店を歩き回り、ようやく購入して読んでみました。
一応「ラブコメディ」という言葉でくくられているものの、読後感は決してさわやかなものではなく、ふわふわしたものではなく、何となく沈み込んだ気持ちになってしまいました。
何せこの物語の主人公であるサトミ(小学6年生女子)は『本当に』仕込み……仕込みはすし屋か(笑)……商品仕入れのために問屋に発注をかけるところから、いや、それまで取引のない問屋をネットで調べて新たな経路を取り付けるところから始めます。
この問屋の女性は極めてまっとうな社会人なので、突然やってきた「自称・文具店経営」の小6女子など相手にしません。『お店ごっこ』ならよそでやって、と一蹴です。
それでもしつこく食い下がるサトミに、「これあげるからもう来ないで」とさらに突き放します(一応、この時点で店に来た顧客のためにキャンパスノートを一束『仕入れ』たのですが)。
そしてノートを一通り売り切り、新たに商品を仕入れるために問屋に行くと、「もう来ないでって行ったでしょ」と憤慨。退けない理由があるサトミは『お店ごっこ』ではないと反論しますが、「子どもって大きな声出せばなんでも通ると思ってるから嫌い」と言って相手の足を止めたあと、いかに店舗経営が大変なのかと言うことをパパのお説教(てんとう虫コミックス8巻参照)並延々と説明。浮かせ技から空中コンボでサトミのライフはもうゼロよってな状態です。
知ってる限りの言葉で茶化してみたつもりですが、サトミの側を知っている私としては、そうじゃなきゃマンガの世界に飛び込んで「こいつはちゃんとした文房具屋だよ!!!」と言いたくて仕方がないのです。
しかもサトミの父親は、先の紹介文にも書いていましたが、本当にどーしようもない人間です。まあ親子にしかない感情があるでしょうからあまり強くは言いませんが、少なくとも私にとっては限りなく最高に近いくらい嫌いなタイプの人間です(ネットゲームに夢中で店舗経営も投げ出し、奥さんにも逃げられ、娘が必死で頑張っているにもかかわらず一切無視して引きこもり生活中)。
そのくせ文房具屋を潰してガレージにして儲けようというプランをサトミに提案した時は、父親の権限で反対する娘の意見を聞かずゴリ押ししようとするのだからたまらない。サトミがどういう感情を抱いていようと、私がこんな人間を前にしたら、冷静でいられる自信はありません。
*
ふー……(ちょっと一息)。
と、少々熱くなってしまいましたが、自分としてはあまり笑える場面はありませんでした。「せつなカワイイ」というのが売り文句ですが、カワイイの要素が大幅にかすんでしまって、ひたすら切なさばかりでした。そう何度も何度も手に取りたいマンガでは、ありません。
かといって、続巻を買わないと言うことになれば、それは私もまたサトミを見捨てることになってしまう。どんな結末になるかわかりませんが、ともかくはじめの1巻を買ってしまったのだから、私もまた最後まで行くしかないのです。
ちなみに本作は作者「あさのゆきこ」さんのデビュー作だそうです。ドラフトではありませんが、もしかしたら今後私のお気に入り作家になるかもしれないし、単純に応援したい気持ちがあったから……というのも、買った理由に数パーセント混じってます。
とりあえず(作者様ではなく、物語の登場人物に対する)不満は爆発させました。気持ちはある程度整理させることが出来たので、続巻を心待ちにするとしましょう。
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一応「ラブコメディ」という言葉でくくられているものの、読後感は決してさわやかなものではなく、ふわふわしたものではなく、何となく沈み込んだ気持ちになってしまいました。
何せこの物語の主人公であるサトミ(小学6年生女子)は『本当に』仕込み……仕込みはすし屋か(笑)……商品仕入れのために問屋に発注をかけるところから、いや、それまで取引のない問屋をネットで調べて新たな経路を取り付けるところから始めます。
この問屋の女性は極めてまっとうな社会人なので、突然やってきた「自称・文具店経営」の小6女子など相手にしません。『お店ごっこ』ならよそでやって、と一蹴です。
それでもしつこく食い下がるサトミに、「これあげるからもう来ないで」とさらに突き放します(一応、この時点で店に来た顧客のためにキャンパスノートを一束『仕入れ』たのですが)。
そしてノートを一通り売り切り、新たに商品を仕入れるために問屋に行くと、「もう来ないでって行ったでしょ」と憤慨。退けない理由があるサトミは『お店ごっこ』ではないと反論しますが、「子どもって大きな声出せばなんでも通ると思ってるから嫌い」と言って相手の足を止めたあと、いかに店舗経営が大変なのかと言うことをパパのお説教(てんとう虫コミックス8巻参照)並延々と説明。浮かせ技から空中コンボでサトミのライフはもうゼロよってな状態です。
知ってる限りの言葉で茶化してみたつもりですが、サトミの側を知っている私としては、そうじゃなきゃマンガの世界に飛び込んで「こいつはちゃんとした文房具屋だよ!!!」と言いたくて仕方がないのです。
しかもサトミの父親は、先の紹介文にも書いていましたが、本当にどーしようもない人間です。まあ親子にしかない感情があるでしょうからあまり強くは言いませんが、少なくとも私にとっては限りなく最高に近いくらい嫌いなタイプの人間です(ネットゲームに夢中で店舗経営も投げ出し、奥さんにも逃げられ、娘が必死で頑張っているにもかかわらず一切無視して引きこもり生活中)。
そのくせ文房具屋を潰してガレージにして儲けようというプランをサトミに提案した時は、父親の権限で反対する娘の意見を聞かずゴリ押ししようとするのだからたまらない。サトミがどういう感情を抱いていようと、私がこんな人間を前にしたら、冷静でいられる自信はありません。
*
ふー……(ちょっと一息)。
と、少々熱くなってしまいましたが、自分としてはあまり笑える場面はありませんでした。「せつなカワイイ」というのが売り文句ですが、カワイイの要素が大幅にかすんでしまって、ひたすら切なさばかりでした。そう何度も何度も手に取りたいマンガでは、ありません。
かといって、続巻を買わないと言うことになれば、それは私もまたサトミを見捨てることになってしまう。どんな結末になるかわかりませんが、ともかくはじめの1巻を買ってしまったのだから、私もまた最後まで行くしかないのです。
ちなみに本作は作者「あさのゆきこ」さんのデビュー作だそうです。ドラフトではありませんが、もしかしたら今後私のお気に入り作家になるかもしれないし、単純に応援したい気持ちがあったから……というのも、買った理由に数パーセント混じってます。
とりあえず(作者様ではなく、物語の登場人物に対する)不満は爆発させました。気持ちはある程度整理させることが出来たので、続巻を心待ちにするとしましょう。
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