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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 別に今日はUWFがらみの何かの日というわけではないのですが、こないだ前田日明さんのことについて触れたのでね。自分の中でもちゃんとしたいと思ったので、今日はそんな感じの話題で行きたいと思います。

 ただ、1981年生まれとはいえ、私にとってUWFは実質『歴史上の出来事』。関が原の戦いとか幕末の色々な事件とかと同じように、当時のことを話す人の言葉と写真資料などで想像するレベルなのです。

 そう言った意味でいえば、UWFというのはすごく興味深い、色々な想像をしてしまう、ロマンかがやくエステールみたいなものなのです。エステール社は関係ありませんが。

 その一方で、「実際はどうなの?」という感情もあって。

 だから、また変わるかもしれませんが、とりあえずね。今の時点での「UWF観」を、書きたいと思います。


 
 本格的にUWFというものに関心を持ったのは、夢枕獏さんの『餓狼伝』を読んでから。

 主人公・丹波文七に敗北(と、そのあと完全無視される)という屈辱を刻み付けた男・梶原年雄という男がいるのですが、この人がいわゆるUWF系のレスラーなんですね。というか、UWFの人をモデルにしてるから当然か。

 空手をベースに道場破りを繰り返していた丹波を『チキンウイング・フェイスロック』で極め、実際に「銭の取れる」レスラーに成長した後はフルコンタクト空手の『北辰館』で黒帯を取るほど切れ味鋭いキックを繰り出すようになって。これを読んだ時はすでに21世紀でしたが、ともかく私の持っているプロレスのイメージをぶち壊すような衝撃を受けてしまったのでした。

 「こんなにスゴイ団体があったのか!」

 そう思ってアレコレ調べていくうちに、ドンドン想像が膨らんでいきまして。

 それまでちょっと不安定だった『プロレス最強幻想』が、格闘技ブームもすっかり落ち着いた頃に突然暴走。打撃で倒せればそれでもいいし、関節技を極めて折ってしまうことも出来るプロレスラーは強い。つまり、UWFという団体は、そういった最強軍団の集まりだ!

 うん、こんな感じかな。そう思ったのでした。実際、今でもそう思っている人は、たくさんいますよね。


 でも、私がいわゆる『信者』になることが出来なかったのは、やっぱりその団体を率いる前田日明という人の『信者』になれなかったからだと思います。その理由は、こないだ書いたとおりです。どんな理由があれ、いきなり素人に暴力を振るうような人は嫌だったし、そういうのを『前田らしい』と支持するような空気はもっと嫌だったからです(ただし、これがアントニオ猪木なら、また違った印象となるんですが……それがカリスマ性ってことかかな)。

 だから、スゴイ団体だった! と思いつつも、「本当にそうなのかな?」という思いはいつも付きまとっていました。

 そんな中、元自衛隊でボクシングの選手でもあった板垣恵介氏の『格闘士烈伝』を読んで、私のUWFという団体に対する評価がほぼ確定しました。「自分たちは全部真剣勝負、他のプロレス団体とは違う」と言っておきながら、キックを受ける時の身体に力が入っている(受ける準備が出来ている)ということ。……要するに『詐欺である』と断罪しているのです。

 これがただの評論家の意見であれば、「そういう話もあるんだね」くらいにしか感じなかったと思いますが、自身も格闘技の経験があり(ボクシングで国体にも出た)太気拳のS先生にボコボコにされたこともある板垣先生が言うのだから、重みがあります。

 それで、私のUWFという団体に対する熱は、冷めたのでした。


 もちろん、非常にかっこいいんですよね。やっぱり。あと、当時のパンフレットなどの写真を見ながら、熱気を想像するのも楽しいです。

 ただ、私はやっぱり今のプロレスの方が好きですよ。「当時はよかった、今はダメ」なんて、前田日明さんはよく言ってますけど、やっぱり私は今のプロレスが好き。

 そんな今のプロレスラーと、当時からずっと活躍しているプロレスラーがぶつかり合い、ゴチャゴチャしながら戦いを作り上げていく。次々にポッポッポッと新しい人が出てくる使い捨てみたいな格闘技の世界ではありえないことでしょう。

 最強かどうかなんて、どうでもいい。真剣勝負か八百長か? そんなのも、どうだっていい。どっちにしたって私たちが100年かかってもたどり着けないようなスゴさを、見せてくれるのが、プロレスラーという人たちなのだから。

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 本格的にUWFというものに関心を持ったのは、夢枕獏さんの『餓狼伝』を読んでから。

 主人公・丹波文七に敗北(と、そのあと完全無視される)という屈辱を刻み付けた男・梶原年雄という男がいるのですが、この人がいわゆるUWF系のレスラーなんですね。というか、UWFの人をモデルにしてるから当然か。

 空手をベースに道場破りを繰り返していた丹波を『チキンウイング・フェイスロック』で極め、実際に「銭の取れる」レスラーに成長した後はフルコンタクト空手の『北辰館』で黒帯を取るほど切れ味鋭いキックを繰り出すようになって。これを読んだ時はすでに21世紀でしたが、ともかく私の持っているプロレスのイメージをぶち壊すような衝撃を受けてしまったのでした。

 「こんなにスゴイ団体があったのか!」

 そう思ってアレコレ調べていくうちに、ドンドン想像が膨らんでいきまして。

 それまでちょっと不安定だった『プロレス最強幻想』が、格闘技ブームもすっかり落ち着いた頃に突然暴走。打撃で倒せればそれでもいいし、関節技を極めて折ってしまうことも出来るプロレスラーは強い。つまり、UWFという団体は、そういった最強軍団の集まりだ!

 うん、こんな感じかな。そう思ったのでした。実際、今でもそう思っている人は、たくさんいますよね。


 でも、私がいわゆる『信者』になることが出来なかったのは、やっぱりその団体を率いる前田日明という人の『信者』になれなかったからだと思います。その理由は、こないだ書いたとおりです。どんな理由があれ、いきなり素人に暴力を振るうような人は嫌だったし、そういうのを『前田らしい』と支持するような空気はもっと嫌だったからです(ただし、これがアントニオ猪木なら、また違った印象となるんですが……それがカリスマ性ってことかかな)。

 だから、スゴイ団体だった! と思いつつも、「本当にそうなのかな?」という思いはいつも付きまとっていました。

 そんな中、元自衛隊でボクシングの選手でもあった板垣恵介氏の『格闘士烈伝』を読んで、私のUWFという団体に対する評価がほぼ確定しました。「自分たちは全部真剣勝負、他のプロレス団体とは違う」と言っておきながら、キックを受ける時の身体に力が入っている(受ける準備が出来ている)ということ。……要するに『詐欺である』と断罪しているのです。

 これがただの評論家の意見であれば、「そういう話もあるんだね」くらいにしか感じなかったと思いますが、自身も格闘技の経験があり(ボクシングで国体にも出た)太気拳のS先生にボコボコにされたこともある板垣先生が言うのだから、重みがあります。

 それで、私のUWFという団体に対する熱は、冷めたのでした。


 もちろん、非常にかっこいいんですよね。やっぱり。あと、当時のパンフレットなどの写真を見ながら、熱気を想像するのも楽しいです。

 ただ、私はやっぱり今のプロレスの方が好きですよ。「当時はよかった、今はダメ」なんて、前田日明さんはよく言ってますけど、やっぱり私は今のプロレスが好き。

 そんな今のプロレスラーと、当時からずっと活躍しているプロレスラーがぶつかり合い、ゴチャゴチャしながら戦いを作り上げていく。次々にポッポッポッと新しい人が出てくる使い捨てみたいな格闘技の世界ではありえないことでしょう。

 最強かどうかなんて、どうでもいい。真剣勝負か八百長か? そんなのも、どうだっていい。どっちにしたって私たちが100年かかってもたどり着けないようなスゴさを、見せてくれるのが、プロレスラーという人たちなのだから。

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