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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
 今度、ブログに「黒豹」というカテゴリを作ろうかなと真剣に考えている犬神です。いや、いきなり何なんですが、なぜか年に10回以上、家にある『黒豹』シリーズを読み返してしまうのですね。

 荒唐無稽、文章が稚拙、まあ色々な批判はあろうかと思います。それは至極もっともですし、そういったヘンテコな部分に突っ込みを入れながら読むのも大変に面白いですが、それだけではないのがこの小説の魅力。

 要するに大アクション活劇を見てエキサイトするように、次々と襲い来る悪人集団に敢然と立ち向かい、これを壊滅させるという、非常にシンプルで胸のすく展開が面白いから読むのです。何せ地の文で感嘆符をつけて黒豹のすさまじさを書いているものだから(「恐るべし、黒豹!」など)、もはや読者は完璧にその世界に引き込まれて逃れられません。


 今、読んでいるのは『黒豹伝説』。昭和62年初出の物語です。

 本作の舞台はなんとわが岩手県。渋民村、盛岡市など、私の知っている土地がゾロゾロと出てきます。

 しかしながらその内容はシリーズ屈指のすさまじさであり、物語が始まって4ページ目でいきなり大地震に襲われます。ビルは倒壊し、道路には亀裂が走り、そして北上川は思い切り引き裂かれてしまいます。

 その原因をたどっていくうちに、地下で核爆発が起こったことを突き止める黒木。秘書の高浜沙霧女史とともに真相を追うものの、次々と襲い来る謎の暗殺集団。ドンドンドンッ、ドンドンドンッ(愛銃ベレッタが火を噴く音)、ババババッ、ババババッ(愛機『ヒュイコブラ』の30ミリ機関砲が火を噴く音)。ドカーンとかズシーンとかズドドドーンとかと、ライトノベルとあんまり変わらないような擬音が飛び交い、今日も黒木は日本の平和を守るために戦います。

 一応申し上げておきますと、本作で黒木が宿泊する『盛岡ターミナルホテル』は、現在は『メトロポリタン盛岡』として営業中です。あと、地下で核爆発が起こったことを黒木に教えた『盛岡理科大学』というのは架空の大学です。盛岡城址の近くに行っても、そんなものはありませんので、お気をつけください(何を?)。

 とりあえず、全体の3分の1まで読みました。サクサク読めるので、一通り読んだらまた記事を書きたいと思います。

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 先日、中公文庫の「ジャンヌ・ダルク」を読み終えたということを書きましたが、その次に手に取ったのがなぜか「黒豹キルガン」でした。一緒に買った坂井三郎さんの「大空のサムライ」もあるのに、どうして何度となく読み返したこちらを選んでしまうのか。

 400ページ以上のボリュームがありながら、勢い数時間で読めてしまうのは、やはりアクションが多いのであまり小難しい話はないから。まじめにその内容のムチャクチャさを批判する人もいるけれど、何をいまさら、という感じもします。これは「黒豹」のその場その場のスーパーアクションを楽しむものなのですから、話の内容がどれほどぶっ壊れていようが、あんまり気にならずにサクサク読み進めていけます。


 本作品では(でも)老若男女問わず人がよく死にます。黒木が行ったらすでに死んでいたか、襲ってきたので黒木自らが殺したかの違いこそあれ、彼の行く先には死体(主に射殺)の山がが転がり、黒木自身もやたらと襲われるので、自ら死体を増やします。ただし黒木はゴルゴ13のようなフリーランスではなく、日本一偉い人たちのバックアップがあるので、電話一本で死体処理を依頼することができます。

 ホテルでドンドンドンッ(銃声)。公園でドンドンドンッ。人の家でドンドンドンッ。敵が多い時はところ構わずドンドンドンドンドンッ。

 で、最終的には62式機関銃(と100発ベルトx3)を持って敵の本拠地に突入、ジョン・ランボーかターミネーターの如く撃ちまくり、大量殺戮のうえ完結。基本的にどれをとってもこんな流れなので、やたらたくさんシリーズはありますが、どこから読んでも別に構いません。

 
 アクションはそんな感じです。あとはたいてい1回以上女性とナニをするシーンがあります。ほとんどの場合は秘書・高浜沙霧が相手ですが、たまにゲストとすることもあります(本作「キルガン」も)。

あとは地の文で、門田先生自身のメッセージが思い切りズラリと並びます。たいていの場合、当時の日本および日本人のダメダメっぷりの痛烈批判であり、小説という形式をとりつつも門田先生自身が何を言いたいのかがひしひしと伝わるものであります。

 当時は米ソ間でINF全廃するとかしないとかといった話が出ている頃でした。門田先生から見た当時の日本は、金儲けとセックスとロックンロールに狂った壊滅的な社会である、と批判しています。


 2008年現在、もし黒豹がいたら、どんなことを思うのか。それについての批判や共感はともかく、また門田先生の文章が読みたいなと思いました。

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前回

 意外と黒豹の魅力、黒豹の(様々な側面から見た)スゴさをかかれている文章がなかったので「じゃあ、ここはひとつ」ということで書き始めたこのテーマですが、ざっくりとした概要のはずなのにかなり濃い感じになり恐縮です。まあ、できるだけわかりやすく書きます。というか、そもそもココで書くことないんじゃ……。

 4.黒木検事は人脈がすごい

 作中で「黒豹」といえば、世界中の諜報機関が震え上がる超ビッグネームで通っており、CIAもKGBもMI6も(80年代当時)あの手この手で黒木検事を亡き者にしようとするのですが、その卓越した……というか人間離れした戦闘力で次々に返り討ちにされています。

 返り「討ち」で、しかもかなり激しい戦闘の果ての「討ち」であり、さらにそれが結構たくさん人がいる場所だったりするので、現場はすさまじい惨状であり、阿鼻叫喚のパニック現場と相成るわけですが、そこをフォローするのが直属の上司というか司令官である倉脇法相(後に首相)という人です。

 この人に電話すれば「よろしい」とか「わかった」とかの一言で万人が動きます。そして惨殺死体はトランクに詰め込まれ、床や服に飛び散った血痕は特殊スプレーで消し居合わせた人々には厳重な緘口令をしいて、また秘密活動にいそしむと言うわけで、この神に近い人の存在あっての黒木検事の活躍と言えそうです。ちなみに当然ながら日本国の法相であり首相のはずですが、その権力は遠くフランスでも通用するようでそのコネは「銀と金」の銀さんにも匹敵すると思われます。

 そして中には、そんな文字通りの超人・黒木検事に尊敬と畏怖の念を抱き、立場を省みず協力を申し出る人もいるわけで、前回ちょこっと触れたソ連の空母の艦長もそのひとりでした。また、実際に何か協力したわけではないのですが、イギリスの某・超有名スパイのあの人(殺人ライセンス所有)も黒木検事のことを知っていて、一目置いているらしいのですが、たぶんイアン・フレミングは知らないと思います。

 というわけで、黒木検事の行くところではみな震え上がり、黒木検事の通った後には惨殺死体が山積みになっていき、それを次から次から倉脇法相の手の人々が片付けていくのでした。もうやりたい放題な気もしますが、世界中の機関が黒豹を抹殺しようとして襲い掛かってくるのだから仕方がない。ともあれ戦闘シーンの盛り上がりは「餓狼伝」に匹敵する熱さ・スピード感であると思います。

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久々に小説を一冊、頭から尻尾まで読んだのですが、それがまた門田泰明「黒豹必殺」だからたまらない。「黒豹スペース・コンバット」や「黒豹ダブルダウン」でもよかったのですが、こちらは千五百~二千枚以上の超長編なので、とりあえず一冊で終わる「必殺」となったわけですが、これがまたなんともたまらない。グイグイ読み進めて、半日くらいで読み終えてしまいました。

というわけで、今日はそういう話題で書きたいと思います。ドコがスゴいの黒木検事。

1.黒木検事はパワーがすごい

 地の文で紹介される時はすべて「ロダンの彫刻のような」であり、真っ暗闇の中でも目が見えて、氷雪吹きすさぶ中でも冷たいシャワーを浴び、銃創なんかは応急処置をしておけばいつのまにか全快します。でもって鍵はキーピックで開けますが、キーピックが使えない電子ロック式の錠などは力ずくで破壊します(!)。そしてその真価が発揮されるのは格闘時なのですが、それはまた後ほど。

2.黒木検事はテクニックがすごい

 何度も修羅場をくぐっている黒木検事は、精神力でなんでもかんでも成し遂げます。戦闘機に乗っていて海上で燃料切れになった時はソ連の空母(87年当時)に無理やり着艦し、ジャンボジェットの操縦士が毒殺された時は操縦士に代わって300人以上の人々が乗った飛行機を着陸させるという離れ業を披露します。後に月まで行ったり、宇宙空間でUFOを「拳銃で」撃ち落としたりと、地球外でも活躍する黒豹はもはやポリスノーツなど目じゃないといった感じです。

 また射撃の技術はしばしば取りざたされるものでして、「0.35秒」でホルスターから拳銃を抜き、1秒間に3発(後に5発)の連射をします。ドンドンドンッ。また62式機関銃+100発給弾ベルトを抱えて腰ダメで撃ちまくります。一般に日本人の体格では支えきれないと言われていますが、たいていこの銃を黒木検事が撃つ時は「阿修羅の如く」怒っている時なので、撃てます。そして撃たれた相手の半分くらいは頭が……その……「バイオハザード」でパイソンを使った時のようになります。とにかく悪人には一切容赦しないのが黒木検事なんです。

3.黒木検事は精神力がすごい

 そういう、悪人には一切、全然、完膚なきまでに容赦ない黒木検事ですが、女子供弱者には非常に優しいです。パートナーである高浜沙霧には時として厳しい態度で臨みますが、それは彼女の身の安全を案じてのことであり、基本的には優しいです。特に事件に巻き込まれて怯える子供に対する優しさは手馴れたもの……と言えばいいのでしょうか。とりあえずそういう描かれ方をしていました。

 また、先ほども触れましたが燃料切れになりそうな戦闘機(F14トムキャット)をたまたま通りかかった? ソ連の空母に着艦させた際、当然ながら兵士に囲まれて艦長からすごまれるのですが、一歩も引かずに不敵に笑い、挙句の果てに心服させてしまうのだからたまらない。いわく「武士道」なそうです。すごい。


 ……というわけで、まだまだ続きはありますが、とりあえずいったん切ります。明日はさらに考察を深め、魅力を深く掘り下げてみたいと思います。なおフェニックス空対空ミサイルを船舶に向けて発射するなど、「ん?」と思われるシーンも多分にありますので、「トンデモ」愛好者の方々にも大おすすめです。

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