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随分前に放送された「一番電車が走った」を、今までずっと録画したまま放っておいたのは、私の悪い癖である「タイミングを計ること」に起因します。特別に思い入れがあるものは、きちんと心の準備をしてから見たいと思う癖が昔からあり、そのためにせっかくソフトを買ったり録画したりしても、このドラマのように1年以上アーカイブしたまま、なんていうことがあります。

 正直、今回『この世界の片隅に』を見なければ、この先も当分はアーカイブしたままだったかもしれません。映画を見に行った直接的な理由は「のんが主演だから」ということですが、連続的にこれら2作品を見ることができたのは、まさに最高のタイミングであったと思います。


 人類史上最強にして最悪の兵器「核爆弾」――それがもたらす被害がどれほどのものなのかは、私もよくわかります。人間を最も苛烈に傷つけ、死に至らしめるものが、それであると思います。

 しかし、そんな壊滅的な被害をこうむりつつ、わずか3日後に電車が走り出した――しかもその電車を運転したのが十代の女の子であったという「実話」があります。これはそのことをドラマで再現したものです。

 今どきのアニメやライトノベルの話ではありません。70年前、現実の日本で実際にあった話です。
そのことに私はただただ「すげえなあ」とうなだれるしかありませんでした。


 詳しいあらすじとかはほかの方に任せるとして、ひとまず手短に感想を書きます。特に、「この世界の片隅で」のすずと共通点があるのかな? と思ったので、そのことをメモがてら書きます。


 主人公であるトヨちゃんこと雨宮豊子は、物語の中ではとてもクールというか、あまり笑ったり泣いたりするシーンが多くないように感じました。まあ、生き残った人々の中では割と軽傷で済んだため、重傷者の看護とか何とかといった「やらなくちゃいけないこと」が多すぎたからだと思いますが。

 特に原爆投下後は、背中にガラスが突き刺さって半死半生になっている友達を無理やり歩かせようとして「トヨちゃんは鬼じゃ」と糾弾され、それに対して「ここがもう地獄じゃ!」と切り返すシーンが印象的です。あとは阿部寛とモロ師岡に電車を運転するよう頼まれた時に、

 「友達が死にそうになってる時に、電車を運転しろっていうんじゃね!」

 と広島弁で返すシーン。これはかつての朝ドラ『てっぱん』での瀧本美織以来の激しさですね。おばあちゃんは、うちがどこに行ってもええんじゃね! っていうシーン。


 二人とも、戦っていたんでしょうね。銃を握りしめたり飛行機に乗っていたりしたのではなく、自分たちの日常生活を守るための闘い。自分を押さえつけ、何とか今日という日を生き抜こうとした二人。それはまさに戦いだったと思います。


12/18 追記


 ここからはドラマとしての感想。

 やっぱり阿部寛さんは格好いいですね。もちろん私よりもずっと年上なのですが、どちらかというと年齢が近いのは主人公よりもこちら。広島電鉄の中間管理職として、現場の人間と上層部の人間との調整に苦しむ(「また板挟みか…」とつぶやくシーンが重い)前編と、投下後に一刻も早く電車を走らせるため超熱血モードで人々を説得していくシーンに感動しました。先述したように、本当はそれどころでない豊子もその一歩も引かない情熱に役目を引き受けたんだと思います。

 豊子の親友・幸子は投下後、背中にガラスが刺さって重傷を負っていました。映像では白い下着が赤黒く染まったことでその傷の深さを表現しており、それが「リアルでない」と評する向きもありましたが、だからそういうのはいいんですって。心で感じれば、それでいいんだから。

 それから、モロ師岡さんという人は、たまたま何かのバラエティ番組で見て知りました。本人は役者バカというか、とにかくやりたいことだけやって暮らしているような雰囲気で、それを奥さんが頑張って支えていると。行列の出来る法律相談所だったかな。本作では豊子が通う学校の先生として出演していましたが、なんというか。この人もきっと終戦によって大きくショックを受けていたのかなって気がしました。戦争中は厳しい口調で怒鳴り散らしていたのに、豊子の通う学校が閉鎖する時はトーンダウンしていたし。

 ちなみにこのシーンを見た時、私は千葉真一さんが主演した大昔の映画「少林寺拳法」を思い出しました。



 終戦70周年を記念したドラマと70年代に公開された娯楽映画を比べてどうするんだという話ですが、思い出したんだから仕方がありません。


 ドラマが終わった後、登場人物のモデル(というか本人)となった豊子さんと幸子さんがイベントに出られたシーンがありました。ともに80代でありますが、お元気そうで何よりです。

 死ぬような目に遭っても、ある意味死ぬよりもつらい世界を生きることになっても、命ある限り明日はやってくる。私たちはそれを生きなければいけない。ふたつの広島を舞台にした映画を通じて、私はそんなことを思いました。
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かつて、とある戦場カメラマンは「こんなのニュースになりっこない」と思いながら、ありふれた日常風景をフィルムに収めていたと言います。それは非日常的な世界を追いすぎるあまり糸の切れた凧のようになりかねない自分をつなぎとめ、取り戻す作業であったと言います。
           
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