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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
「ハンサムウーマン新島八重」を読みました。

これはいわゆる『大河本』です。いわゆる、「○○年度の大河ドラマはコレです!」というのが発表されると、突然それをテーマに扱った雑誌・ムック・単行本が刊行され、本屋には専門コーナーが立ち上がり、それまで関心もなにもなかった人が流行に乗っかってたしなみとして読む本です。

まあ、かく言う私も新島八重という人の名前は大河ドラマが始まってから知ったクチなので、あまり悪く言えませんが、それでも私が読んだのは藤本ひとみ先生の『幕末銃姫伝』(2010年初版)ですから。いかにも「ブームに乗っかって出しました」っていう本はやめておこうと思ったのです。

とはいえ、藤本先生の山本八重は続編でメタルギアばりの潜入任務をするので(※)ちょっと史実を勉強しておかなくちゃね……と思い、大河本代表としてこれを読んだ次第です。


結論をズバリ申し上げると、かなり面白かったです。新島八重だけではなく山本覚馬、川崎尚之助のことなども取り上げられていて、

「やはり、いくら八重が特殊な気質を持っていたとしても、周りの人たちの協力なくては花開くことはなかったのだ」

ということが、よくわかりました。会津流山本家仕込みのの超・頑固気質をベースにアメリカ流新島襄仕込みの極・開明思想を盛り込んだ、まさに『ハンサムウーマン』なのです。



それと同時に、私の心もまた大きく開かれたような気がします。

昨年から同じ幕末時代でも佐幕側の人が主人公の小説を読みまくり、さらに山岡荘八先生の『小説徳川家康』『柳生宗矩』をも読み、極めて親徳川的な思想になっていたのですが、小学生の頃に好きだった人物は実は勝海舟でした。ええ、坂本竜馬よりも勝海舟だったんです。

ともすればホラふきだの何だのと批判されることも多いですが、「だからどうしたよ」と笑い飛ばせる度量を持った人ですからね。たぶん相手が刀を抜いてきても、

「粋じゃねえなあ。そんなもん引っ込めな」

とかって、江戸弁で一喝して追い返すことでしょう(岡田以蔵に危ういところを助けてもらったことはありましたが)。

そういう性格だからなのか、外国のことを偏見なく見て「新しい時代」が来ることをちゃんと理解し、それを佐幕倒幕問わず多くの人にどんどん広めていったのが、すごいですよね。

藩祖以来の恩義に報いるとか、徳川家のために頑張るとか、徳川も何も関係ないけど自分の『意地』を貫き通すために戦うとか、徳川も何も関係ないけどご近所さんがイジメられてるからそれを助けてあげようとしたとか、徳川も何(中略)せっかく正装でビシッと決めて京都まで遠路はるばる行ったのに結婚式の三次会ムードでフランクすぎる対応をされて激怒したとか……色々な理由があって幕府側に立ち、戊辰戦争で死んでいった人たちはたくさんいます。西郷頼母の家族のように集団自決した人たちもいます。

そういった人達を「時流が見えなかった愚かな人たち」というつもりはありません。昨年はそういう(従来の私が持っていた)考えを否定するために徹底的に本を読み、かなり佐幕側に偏っていました。

それが今回、大きく反対方向に引き戻されました。佐幕でも倒幕でもない。新しい時代を切り開くのは刀槍でもなく鉄砲でもなく人の心なのだ。ーーこんなことを私が言ったら「そんなに甘いもんじゃねえよ」と一笑に付されることでしょうが、勝海舟は江戸開城までこぎつけたし、坂本竜馬も志半ばで倒れたものの多くの人に影響を与えましたから、全くの夢物語というわけではないでしょう。

山本覚馬もそういった先進的な考え方の持ち主だったし、維新後は八重もどんどん変わりました。
つまり心のコアな部分にゆらぎがなければ、時代に合わせて「ならぬものはならぬ、良い物は良い」と受け入れていくのが、いいのかもしれません。

……まだちょっと上手にまとめられませんが、今後はもっとニュートラルな立ち位置で本を読んでいきたいと思います。


※ ある人物を救出するために愛用のスペンサー銃を手に取り収容所に潜入する。危うくこれが史実だと触れ回るところでした……

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