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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
菊池幸見さんの小説『走れ、健次郎』を読みました。

本来IBC岩手放送のアナウンサーである菊池幸見さんですが、『泳げ、唐獅子牡丹』『翔けろ、唐獅子牡丹』などの小説もお書きになっています。この2タイトルは以前に私も読みましたが、とっても爽快で気持ちのいい物語です。

そういったことを知っていたので、新刊として八戸の本屋に平積みされているのを見て「おっ!」と買ってしまった私。ちなみに同時に買ったのが先日レビューを書いた『冬を待つ城』です。


いち地方都市に過ぎない盛岡市で突然開催された国際マラソン大会。先頭を走るのは各国のトップアスリートと、彼らを抑える日本のエース。ところがそんなトップ集団に、沿道を走りながらついていく一人の男がいた。果たして彼は一体何者なのか・・・!?


というのが、ある時は選手、ある時はそれを中継する実況アナウンサー、そしてある時はその中継をテレビで観戦する第三者・・・という風に、小気味よく視点を変えながら物語は進んでいきます。このあたりはヴァージニア・ウルフの得意とする『意識の流れ』の描写に通じるものがあります(?)。

最初から最後まで、常に空気が動いているような物語だった。――一言で表せば、そんな感じです。読んでいると、そこに風を感じられるような気がするのです。

あとは、私もまた岩手生まれの岩手育ち、三十数年来の岩手県人(今は津軽に出向中)だからというのもあるでしょうね。地形の説明とか風土・人柄の説明とかを読むと「ウン、ウン」と心から同意してしまうのです。これは他県、あるいは他地域の方にはない感情でしょうね。


そういった感情的なことを抜きにしても、先ほども申し上げたように、非常に爽快な文章です。果たしてこれが関東甲信越中部四国九州の書店で売っているのかどうかはわかりませんが、とりあえず名前だけでも覚えて帰ってください(ちょっと前のサンドウィッチマン風オチ)。

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