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大好きなアートと文芸関係、それに仙台を中心に私が見た日常のことを書いています。時々頑張って大体のんびり。もさらくさらの18年……。
こんばんは。

 はじめにラブありきぜよ

 いぬがみです(坂本龍馬starring渡辺謙)。


 「幕末純情伝」という映画を見ました。

 いわゆる美青年剣士として名高い沖田総司が、美青年どころか実は女で、そこに坂本龍馬が恋をしてしまう…という、これだけ書けばそこら辺のラノベと大差ない話になってしまうのですが、これは1991年に脚本家・つかこうへい氏が書いたものです。

 つかこうへいもそんなラノベ的なものを書くのか! と思いつつ見てみましたが、そこはそれ。半端なラノベじゃ百万ページ費やしてもかなわない上質のラブコメ時代劇になっていました。まあ娯楽映画ですね。沖田が女だったって時点で、史実も何もあったもんじゃないし。さすがの私もそこは、「ああ、この世界の土方さんはこういう感じなんだ」と思いつつ見ていました。

 どんな感じだったのか。思いついたことを書いていきます。

 (注:この記事はアルコールを摂取しながら書いています)

 沖田総司:これは当時ギリギリ19歳の牧瀬里穂が演じています。大体この時代に私も色気づいてきたというか、テレビのアイドルにドキドキし始めた頃でありまして、牧瀬里穂も結構好きでした。本作では「ピストルの弾を居合抜きで弾き飛ばし、そのまま相手を両断する」という超絶技巧を繰り出しています。赤毛の維新志士にも劣りません。

 坂本龍馬:「天と地と」を病気により降板した渡辺謙さんの復帰第一作。のちにラストサムライとして世界中を感動させるKen Watanabe演じる坂本龍馬は……とらえどころのない……かなり破天荒な人物です。寝小便の癖は直ってないし、斬りに来た牧瀬総司から「抜けッ!」と言われるとおもむろにフンドシを抜き、「お前、何考えてんだ!?」とあきれられる始末。その一方で泥酔した総司から「ヤるぞ!」と言われると「そんな露骨に言われると、さすがのワシも…」とひいてしまう純情さもあります。ええ「幕末純情伝」ですから(ちなみに総司がしたかったのは……)。

 土方歳三:私が敬愛する歳さんを誰がやってるんだ? おおっ、杉本哲太さんでしたか。最近だと……ううん「あまちゃん」のイメージがあるんですが、やはり直情的で一本気なキャラクタです。美青年(と一般庶民からは見られている)沖田めあてに集まったミーハー女子どもに「ドカタ」と言われると「おれはヒジカタだ!」と修羅の形相で一喝したり、とても硬派なイメージです。まあ、たまたま危ないところを助けた財前直見に対してデレモードになり、それを見ていた牧瀬総司にヤキモチをやかれるようなシーンもあるのですが……それも含めて、「いいなあ歳さんは」と思う私なのであります。


 桂小五郎:これをどうして柄本明さんがやるんでしょうか。いや柄本明さんは私も大好きな俳優さんですが、主に「志村けんのだいじょうぶだぁ」のイメージですからね。なんというか……三日かけて煮出した超濃厚豚骨スープ的な、と言いますか……夢野カケラばりに「グヘエッ」と悲鳴を上げつつ、その俳優さん自体の魅力にやられてしまうわけですよ。一言で言えば、渡辺龍馬と杉本土方を引き立てる最高のキャラクタなんです。すごい! 大好き柄本さん! 以上!

 西郷隆盛:スターリング・桜金造……ということです。はい、何かというとサツマイモばっかり食べています。かなりステレオタイプで素晴らしいです。いや本当に。なぜなら私は幕府軍シンパだから。「敬天愛人」は素晴らしい本だと思いますが、西郷キンゾーさんを見て怒る側ではなく笑える側ですから。

 岩倉具視:本作(そして、たぶん史実でも)最大の黒幕。それを演じるのは津川「家康」雅彦さん。いや~この人も大好きなんですが、何せ白塗りの(これまたステレオタイプな)貴族メイクだったため、そうと気づかずに見ていました。ある意味それが正しい俳優さんの姿なのかもしれませんが。

 その他:

 近藤さんは上司(松平容保star.榎木孝明)と部下の間で苦悩する中間管理職的なポジションで描かれています。何となく「こち亀」の大原部長っぽい立ち位置ですね。違いとしては、「両津のバカはどこだ!」的に怒ることができないことでしょうか。「歳、そんなに派手に暴れないでくれよ……」と頭を抱えながら懇願するような。

 岡田以蔵は、ほかの媒体と比べるとそこそこ活躍しています。龍馬の相棒として、結構大事なところで頑張っています。ただの「人斬り」としてではなく、本当にアシスタント的な立場として。もっとも、龍馬の頭脳が作中でも超一流のものとして描かれているので、「何でそこでそんなことするんじゃ以蔵は……」と渡辺龍馬に言われる場面も、ないわけではありませんが。

 新選組のほかのメンバーは、まあ誰が誰だかよくわかりません。原田左之助は槍を持っているのでわかりましたが、「えっ? あの眼鏡をかけた人が山南さんなの?」とか。そんな感じです。

 そして女性キャラで際立って存在感を発揮していたのが、松金よね子さん演じる寺田屋の女将「お登勢」。間違って? 牧瀬総司の眠っている部屋にチン入し、あわや大惨事となりそうになったところに割って入り猛説教。これにはさすがの渡辺龍馬も「いや、布団を間違えたぜよ」と頭をかくしかありません。


 さて、切りがないのでこのくらいにしておきますが、なかなか良質な映画でありました。

 坂本龍馬と土方歳三。もちろん史実の人物としては一人きりであり、その史実上の人生というか人格というか……歩んだストーリーは一つでありますが、これほど多くの人に愛され、創作のモチーフにされ、その分だけ異なった人生を歩まされている方は、そうそういないですよね。

 特に歳さんは生き延びてアイヌの財宝を探し求めたり、あるいは異世界で仇敵(のご先祖)と殴りあったり魔人と戦ったり火星に行ったりベートーヴェンと一緒に現代で大立ち回りを演じたりしますからね。

 「……今度はなんだ? まったく……おちおち句をひねる暇もねえや」

 そのたびに短冊と筆をおいて、愛刀・和泉守兼定を手にする土方さんを想像してしまいます。その時書きかけていた句は? もちろん

 「しれば迷いしなければ迷わ」(後略

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